グループのコア技術を生かす

 我々のヘルスケア事業は、パナソニック・グループが保有しているコア技術を生かしながら展開している(図3)。この分野に求められるのは、単一の技術で はなく複合的な技術である。パナソニック・グループの中には、大抵の技術はどこかに存在している。それが我々の強みでもある。

図3 エレクトロニクスなどのコア技術が商品群を支える
パナソニックのヘルスケア事業の商品群は、エレクトロニクスや材料、光学などのコア技術が生かされている。(図:パナソニック ヘルスケアの資料を基に本誌が作成)
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 その点で、三洋電機やパナソニック電工と一体になったことも、プラスに働くと考えている。保有する技術の幅が広がるからだ。もっとも、三洋電機はこれまで、ヘルスケア事業に関して我々とは異なる方向からアプローチしていた。連携することで、うまく補完できるとみている。

 商品群から見ると、我々の事業は「院内業務支援」「在宅ヘルスケア」「早期診断・治療」の三つの分野に分類できる(図4)。

図4 大きく3分野を手掛ける
図4 大きく3分野を手掛ける
パナソニックは、ヘルスケア事業として「院内業務支援」「在宅ヘルスケア」「早期診断・治療」という大きく三つの分野を手掛ける。(図:パナソニック ヘルスケアの資料を基に本誌が作成)

 院内業務支援は、主に病院内で使うシステムである。例えば、医療用のデジタル画像を撮影・記録・表示するといった部分に、映像機器を中心に民生分野で 培ってきた技術を活用している。特に注力しているのは、3次元(3D)表示技術の内視鏡分野への展開である。2011年には、内視鏡向けの3D液晶モニ ターを発売した。

 在宅ヘルスケアの代表的な商品としては、例えば補聴器がある。2011年には、ワイヤレス型の補聴器を発売した。Bluetoothを利用して、テレビ の音声を直接、補聴器に送信する機能を備えるものだ。補聴器をネットワークの一端末にするというコンセプトの製品である。この他、レンズの一部に液晶技術 を利用した「電子メガネ」も手掛けている。液晶を利用することで、遠近両用の視野合わせを自在にできるのが特徴だ。現時点では、海外でのみ展開している。

 早期診断・治療の分野では、血糖値センサや超音波診断装置などを手掛けている。