我が国の英知を結集

 新成長戦略の方針を受け、2010年11月に開催されたのが、「医療イノベーション会議」である。官房長官が議長を務めた同会議で、国の司令塔となる医療イノベーション推進室の設置が決まった(図3)。

図3 医療イノベーション推進室が始動
図3 医療イノベーション推進室が始動
医療イノベーション推進室の概要を示した。(図:内閣官房の資料を基に本誌が作成)

 室長に東京大学 教授の中村祐輔氏を迎えた他、室長代行を東京女子医大 教授の岡野光夫氏、ノーベル賞を受賞した島津製作所の田中耕一氏にお願いした。まさに我が国の英知を結集し、世界に打って出る体制を整えた。10年、20 年、そして50年後の医療の姿を想像しながら、抜本的なシステムや法規制などの改革に取り組んでいく考えである。

 ただし、短期的に成果を出すことも重要である。大胆な予算投入や規制改革などにより、成功事例をどんどん生み出したい。具体的に医療イノベーション推進室が取り組む対象分野は、医薬品や医療機器、再生医療、個別化医療(オーダーメイド医療)などである。

本記事は、2011年5月26日と6月9日に本誌とデジタルヘルスOnlineが開催したセミナー「次世代医療機器サミット2011」において、八山氏が講演した内容を基に、加筆・編集したものである。