病院まるごと輸出

 少し観点が異なるが、海外進出という点で韓国が実施している特徴的な取り組みを紹介する。

 韓国は現在、ODAの一つとして、“病院を海外に売る”ことを積極的に進めている。病院建設と医療機器、病院の情報化、医師、医薬品などを全部セットにして、海外に提供するというものである。

 まずは、こうしたインフラを中央アジアや南米などの国に援助として提供する。その上で、医療機器を追加したい場合は韓国から購入してもらうようにしたり、手術に必要な医師を韓国から(有料で)派遣したりする仕組みである。

 韓国は、電子政府やデジタル教科書の分野でも同様のやり方で展開している。

進化する医療機器

 最後に、今後の次世代医療に関する展望と課題を述べる。これからの医療機器は、技術との融合によってどんどん変化していく(図7)。より正確で迅速な診断ができる、使いやすい、後遺症のない治療ができる、術後のケアが簡単、…そういった機器が続々と登場してくるだろう。

図7 次世代医療に関する今後の展望
図7 次世代医療に関する今後の展望
大きく四つに分類できる。(図:趙氏の資料を基に本誌が作成)

 さらに、患者が意識することなく生体信号が自動的に測定され、そのデータをスマートフォンやタブレット端末などを使って管理できるような仕組みが構築されるのは、間違いないとみられている。

 次世代医療の市場そのものは、世界的にも爆発的に拡大すると考えられている。重要なのは、医療サービスを受ける場所の変化である。予防医療や介護などの 医療サービスを、病院ではなく自宅などの病院外の環境で受けられるようにしていく必要があるだろう。そのためにも、電子部品や通信技術の後押しは必須である。