UI開発で重要なのは、「デジタル機器を普通の人にとって使いやすくするには、どうすればいいか」という視点からスタートすることだ。その後に「それを実現するには、どの技術を使ったらいいか」という選択が来る。言い換えれば、テレビの新しいUIを開発する際に、テレビの従来機能の延長線上で考えてもダメだということだ。

 UI戦略は、ブランド戦略によく似ている。それは、UIが機器や開発メーカーの魅力を表すブランドそのものになったからだ。大切なのは「不易流行」。変わらない部分と、新しく取り入れる部分を真剣に考えなければならない。そこには、開発思想の一貫性が必要だ。残念ながら、国内メーカーにはそれがない。新しく提案したUIがあまり利用されなければ、次の機種では搭載を簡単にやめてしまう。

 その点、Apple社によるUIの提案には学ぶべき点が多い。スマートフォンやタブレット端末で成功したUIと同じ操作感を、次はパソコンの「Mac」向け最新OS「Lion」のタッチ・パッド操作で提案している。少しずつ形を変えながらユーザーを慣れさせ、どのApple製品を買っても、同じ操作感で使えるように教育しているわけだ。UI戦略は、後追いが許されない。かつての大量生産の時代とは発想を変える必要があると肝に銘じるべきだ。(談)

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