既存カテゴリには収まらない

図2 高級家電でもデザイン家電でもない
図2 高級家電でもデザイン家電でもない
脱安売り製品は、メーカーの製品ラインアップの上位機種である「高級家電」や、見た目だけにこだわった「デザイン家電」と混同されることが多いが、実際には全く別のものだ。

 こうした製品は、価格の高さからよくある「高級家電」と混同されがちだが、本質は全く異なる(図2)。大手家電メーカーの製品は、通常は下位製品から上 位製品までのラインアップで構成されており、上位製品が一般に高級家電と呼ばれる。たいていは下位製品になるほど機能や質感が劣るように構成されている。 搭載してもコストに影響しないような機能であっても、差異化のために下位モデルに搭載しないことすらある。

 一方、脱安売り製品のラインアップは少なめであり、機能や用途の違いで分かれているだけだ。一般的な家電のラインアップに見られるグレードの差は存在しない。購入時の満足感が劣る「低価格ありきの機種」は最初から用意しないのだ。

 脱安売り製品は、デザイン性の高さから「デザイン家電」の一種とみなされることも多い。しかし、一般的なデザイン家電とはやはり根本から異なる。

 脱安売り製品のデザインは機能を追求した結果であるのに対し、よくあるデザイン家電は「外見の美しさ」の追求に主眼を置いている。例えば、あるデザイン 家電メーカーの冷蔵庫は、大手メーカー製品の外装を換えただけのものだ。価格は、基になった製品よりかなり高い。デザイン分を上乗せしたプレミアム価格に なっているのだ。

 ある業界関係者は、商業的に振るわなかった大手家電メーカーのデザイン家電を「旧製品の外装を変えて1.5倍の価格で売っていただけ」と切り捨てる。「これでは最新の機能を持ったものは絶対に出せない。ビジネスモデルとして発展しようがない」(同関係者)。