国内自動車メーカー4社がスマートシティやスマートハウスの実験に加わる。こうしたエネルギ需給の最適化に関連する事業領域は広い。このため各社が手掛ける範囲は、製品領域によって異なる。トヨタは壮大なプランを描き、ホンダは自前主義で挑む。日産や三菱自動車は他社との協業を重視して参入領域を絞り込む。

 国内自動車メーカーで、プラグインハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(EV)を使って地域や住宅のエネルギ需給を最適化する実証実験に取り組むのがトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、三菱自動車の4社である。

 各社の共通点はPHEV/EVを既に販売しているか、2012年のうちに発売する計画があること。PHEV/EVの開発と販売に影響を与えそうな、こうした実証実験への取り組みには真剣だ。

 ただ、自社で手掛ける領域は企業ごとに異なる(図13)。これはグループ企業を含めて手掛ける製品群の違いによるところが大きい。


図13 自動車メーカーごとに手掛ける領域は大きく異なる

図13 自動車メーカーごとに手掛ける領域は大きく異なる
国内ではトヨタ、ホンダ、日産、三菱自動車が実証実験に力を入れている。

 電力情報の管理システムを自ら開発するトヨタとホンダの場合、トヨタにはグループ企業に住宅メーカーのトヨタホームが、ホンダには太陽電池を開発するホンダソルテックがある。エネルギ需給を最適化する試みの中で、住宅と太陽電池は重要な製品の一つ。電力情報の管理システムがあれば、PHEV/EVに加えて住宅や太陽電池へのプラスの効果も見込める。現時点で手掛ける範囲は、トヨタが地域単位となるのに対してホンダは住宅単体になる。

 一方でEVを既に販売する日産と三菱自動車は、地域や住宅の電力情報の管理システムを自ら手掛けず、他社に任せて協業することを重視する。2社ともに住宅向けの製品などを開発していないことがその背景にある。代わりに2社が力を注ぐのが、EVの放電機能の開発と車載電池の2次利用ビジネスである。EVの付加価値を高めることや、電池のコストを下げることにつながる可能性があるからだ。

 以降では4社の取り組みをみていこう。

トヨタは電力料金を変動させる仕組み