図1 玩具から始め,応用を開拓へ脳波計測の応用分野の例を示した。現在は,玩具/ゲームへの応用が中心だ。実証検討が始まっているのが,睡眠障害の簡易検査と いったヘルスケア分野などである。さらに将来の取り組みとして,ユーザーの感情をおおまかに把握し,機器の制御に利用するアイデアも登場している。
図1 玩具から始め,応用を開拓へ脳波計測の応用分野の例を示した。現在は,玩具/ゲームへの応用が中心だ。実証検討が始まっているのが,睡眠障害の簡易検査と いったヘルスケア分野などである。さらに将来の取り組みとして,ユーザーの感情をおおまかに把握し,機器の制御に利用するアイデアも登場している。
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 脳計測分野の技術進化や計測装置の小型化によって,脳計測データをさまざまな民生機器で活用することが,現実味を帯びてきた(図1)。既に市場投入が始まった玩具/ゲームやマーケティング,ヘルスケアだけではなく,デジタル家電や自動車などへの適用に向けた取り組みも進んでいる。

 特に,低価格の脳波センサを活用したエンターテインメント用途の家電機器は,比較的商用化が近い分野である。例えば現行の玩具/ゲーム向けの脳波センサでは,ユーザーの「集中度/リラックス度」が把握できるにすぎない。しかし将来,このセンサで読み取るデータの解析技術を進化させれば,「心地よい」「不快」といったユーザーの気分まで把握できる可能性がある。これを活用すれば,「ユーザーのフィーリングに応じて,再生する曲を変える携帯型音楽プレーヤーなどが実現できる」(NeuroSky社)という。

 自動車では,居眠り運転防止のため,運転者の座席のヘッドレスト部に脳波センサを埋め込むといった取り組みがある。脳波センサで,睡眠時に出力される特徴的な波形を検出し,警告音などを発して運転者に気付かせる,というものだ。「ある日本の自動車メーカーが,弊社の開発キットを使って居眠り運転の防止に向けた研究を進めている」(Emotiv Systems社PresidentのTan Le氏)注1)

注1) このほか,睡眠時の脳波を計測して適切なタイミングでベルを鳴らす「脳波センサ付き目覚まし時計」や,スポーツ選手に向けた「集中力のトレーニング装置」といったアイデアが出ている。国内の携帯電話サービスに向け,脳波データを活用した占いゲームやダイエット向けアプリケーションを開発している企業も出現している。

――続く――