動機づけのキーワードは「美容」

図2●予防のための対処と専門家相談への期待(U'eyes Design作成)
(テクノアソシエーツ「デジタルヘルスケア、消費者価値に見るビジネス機会~疾病予防・抗加齢編~」より)
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 男女の差が顕著についたのが、美容である。特に顔周り(肌、口元、髪)に関する関心は非常に高く、予防のための専門家の役割に期待するニーズも大きい(図2)。

 女性のアンチエイジングニーズは高く、「実年齢より少しでも若く見られたい」という意識が強く、そのための情報や商品・サービスがあふれている。また、起こるか分からない病気の予防より、年齢とともに老化・変化を実感しやすい美容の方が、より身近に危機感を覚えやすく、改善によるメリットを体感しやすい。

 アンチエイジングをライフスタイルの一環として実践する女性消費者も多く、「美しさ」や「若さ」は、消費者に行動を起こさせるモチベーションにつながる重要なキーワードと考えられる。

若年層ほど関心が高いメンタルヘルス

 また、年齢によって関心の高さも異なる(図3)。例えば、メンタルヘルスに関しては、若いほど関心が高く年齢が進むとともに低下する。若年層(20~30歳代前半)では社会経験も浅く、対人関係や恋愛、結婚などにまつわる悩みが多いこと、近年のメンタルヘルスに対する啓蒙活動の強化による意識変化などが、背景にあると考えられる。

 年齢が進み、中年(30歳後半~50歳代前半)になると不定愁訴への関心が強まる。女性ホルモンの変調による体調不良、仕事や育児のストレスによる自律神経失調による不定愁訴などが増加すると推測できる。

 更年期の時期を過ぎた高齢(50歳代後半以上)では、生活習慣病や骨粗しょう症などへ関心が移行する。自身の身体的な老化を強く実感したり、周囲の生活習慣病患者や寝たきり老人の話などを見聞きすることが増加し、60代以降続く約20年間の老後生活の質に対する危機感が高まるものと推測できる。

図3●エイジングと関心領域の推移(U'eyes Design作成)
図3●エイジングと関心領域の推移(U'eyes Design作成)
(テクノアソシエーツ「デジタルヘルスケア、消費者価値に見るビジネス機会~疾病予防・抗加齢編~」より)