ジェスチャー入力操作に対応した,富士通のノート・パソコンを使ったデモの様子。画面上に表示される手形のカーソルを,実際に手を動かすことで操作し,パソコンの各種機能を利用する。
ジェスチャー入力操作に対応した,富士通のノート・パソコンを使ったデモの様子。画面上に表示される手形のカーソルを,実際に手を動かすことで操作し,パソコンの各種機能を利用する。
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 体の動きを検知して操作する,いわゆるジェスチャー入力操作が,ゲーム機を起点に,さまざまな電子機器へと広がりそうだ。ゲーム機では,任天堂の「Wii」のヒットで,一気に注目が集まった。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)や米Microsoft Corp.も,ジェスチャー・コントローラの採用で追随する。SCEはカメラと専用の操作端末を組み合わせた「PlayStation Move モーションコントローラ」を2010年9月から,Microsoft社は端末を持たずに操作できる「Kinect for Xbox 360」を同年11月から,共に米国で販売する。

 ジェスチャー入力操作は,パソコンでも採用が始まっている。例えば富士通は,ノート・パソコンにジェスチャー入力操作ができる機能を搭載した。手の動きだけで動画や音楽再生といった操作ができる。

 この技術を提供したのは,イスラエルのベンチャー企業PointGrab Ltd.である。特徴は,同社の画像認識ソフトウエアを搭載するだけでジェスチャー入力操作を可能にすること。専用のハードウエアは不要である。他社の技術では,複数のセンサなどを使う必要があるが,PointGrab社の場合はノート・パソコンに搭載されているような一般的なカメラだけである。

 PointGrab社によると,2.5m離れた場所からでもジェスチャー入力操作ができるという。カメラのズーム機能を使えば,さらに距離が延びる。2倍にズームすれば,5mでも操作できる。これは,テレビでの利用も視野に入ることを意味する。例えばテレビから離れているソファーに座りながら,番組を切り替えたりインターネットにアクセスしたりできる。

 ジェスチャー入力操作の採用は,デジタル・サイネージといった業務機器にも広がっていく可能性もある。例えば,サイネージから離れた場所からディスプレイに表示された情報にアクセスし,商品を購入することなどが可能になる。ディスプレイのそばで操作しなくてはならないタッチ・パネルに比べて,サイネージの設置自由度が高まる。