不具合予測結果の活用

 不具合予測結果が精緻(せいち)に出始めると、設計検討の質は向上し、その効率も上がり始める。要検討事項が事前に明らかになっているため、どのような検証をすればよいのかが明確に分かるからだ。実施すべき解析のパラメータの範囲も絞り込まれるため解析指針が決定しやすいし、最適解を見つけ出すまでの時間も削減できる()。クリアランスや肉厚チェックといった3次元的な位置関係の検証を行う際にも、具体的な確認指標を持ちながら確認作業を行えるようになる。

図●設計パラメータの絞り込み
要検討事項が事前に明らかになっていれば、構想段階での解析におけるパラメータの絞り込みが容易になる。
[画像のクリックで拡大表示]

 こうなれば、モデル構築段階での設計品質が上がって、手戻りを大幅に削減できるし、試作回数も削減できるようになる。3次元モデルは、不具合が発生し得るかを確認する手段として非常に有力である。3次元開発プロセスの構築がしっかり行われていればいるほど、不具合未然防止活動の成果がすぐさま出てくるのである。

 さらに、不具合未然防止の運用が定着してきた段階で、よく指摘される懸念事項に見合った設計検討の仕方をまとめると、設計プロセスのさらなる効率化が可能になる。どのような検討手法や検証方法を取るべきかを明らかにし、設計プロセスに組み込んでいくのだ。こうすることで、より強固な3次元開発プロセスが構築できる。不具合未然防止活動の最終仕上げ作業として取り組むことをお勧めする

* 設計手順の見直しをはじめとする3次元設計手法のまとめ方と、3次元CADを有効に用いた検図方法のアイデアは、第10~12回で解説している。解析を用いた設計の進め方については、第19~21回で紹介した。