3次元設計における効果は、主に2つある。そのうちの1つは、本連載第16~18回の「生産工程を含めた効果の刈り取り」で解説した。後工程で3次元モデルを利用することによる効果といえる。
もう1つの効果が、製品そのものの性能と品質の作り込みだ。今回からは、これを早期に実現するための開発スタイルについて説明する(表)。そのキーになるのが、CADのオプションとして機能するCAEである。
CAEは正しく使われているか?
CADやCAEベンダーの解説では、CAEは開発プロセスの中で「試作」に置き換わるものとして位置付けられることが多い(図1)。これを結果確認型解析という。
そして、設計者がこれを簡単な操作で行えるよう、「設計者向けCAE」と銘打ったCAEツールをオプションとして組み込み、形状データをそのまま解析用のモデルとして利用できるCADが提供されている。しかし、これまで多くの設計/開発現場と解析事例を見てきたが、この種のCADが効率よく稼働しているところは意外と少ない、というのが正直な感想である。あまり使われていないか、間違った使われ方をされている例が多い。