15年後に爆発させる

 日本って人しか資源がないんだから,解かなきゃいけない問題を本当に解ける人を養う教育が,一番大事なテーマです。例えば環境問題のように,あらゆるところで問題はどんどん複合化・複雑化している。一つの分野の専門家だけじゃ絶対に解けない。それなのに今,大学は専門分野をさらに細々と狭めていき,与えられた細切れの問題を解ける人ばっかり養っている。「そんなことやって楽しいのか。そうじゃないだろう」というのをちょっとね,教えたいんですよ,大学で。

 うちの研究室では毎週1回,火曜日にゼミをやっているんですが,外部から講師を必ず呼んでいます。分野を問わず。あるときは看護師さんに,老人介護問題について話してもらう。床擦れの写真に全員びっくり。ほかにも,広告代理店にいる友人にマーケティング理論を話してもらったり,お坊さんに語ってもらったり。航空工学と何の関係があるのかっていうくらいですが,これが大事なんです。全然違うことをぐちゃぐちゃにやらせて頭の中をかき回す。みんな多感な年齢ですから, 「あの時,こんな話を聞いたな」というのが,15年くらい先にきっと爆発しますよ。

(聞き手は日経ものづくり編集部)