大抵,こんなふうに開発現場がさじを投げた状態になってから私に話が回ってきます。私も負けてられません。「よし。じゃ,やりましょう」って数学で解いたら,実験結果とぴったり合った。あっちは2000万円,こっちはタダですけど(笑)。それで理論に沿ってチューブの取り付け角などを調整し,無事に製品化にこぎ着けたそうです。

 2000万円のソフトといっても,中身はブラックボックスなわけです。何か入れると何か出てくるけど,求めたいものと全然違うかもしれない。私は入り口から全部,数学できっちり解いていく。それでも解けないところだけ数値計算して,解けるところは知っている限りの数学を武器にして闘う。

(聞き手は日経ものづくり編集部)