モデル構築の履歴は並列状に

 3次元設計の強固な基盤づくりを目指す上で強く推奨しているのは、3次元モデルの作り方を統一することである。これは大別して、①3次元CAD運用ルール(ファイル命名方法、レイヤの使い方、図形要素データの格納ルールなど)、②モデル構築手法、の2つに分けられる。これら2つをしっかりと統一し、さらに、この上に設計対象に合致した設計手法を構築していくことで、より高い効果を出せる環境が出来上がる。

 3次元CAD導入の初期段階においては、上記のいずれもが決まっておらず、個人任せになっていることが多い。大規模に運用されるようになるにつれCAD運用ルールはほぼ整備されるが、モデルの構築手法をきちんと定義し、統一するという活動については手付かずのままの企業が少なくない。

 3次元設計は、作成したモデルを最終工程まで使い、一連の工程全体で効果を出すものである。そのため、いずれの工程においても作業がしやすいようにモデルが作成されていることが望ましい。

 モデルの構築履歴を保持する、いわゆるヒストリーベースの3次元CADでは、前述のような観点から、構築履歴が1本の長い「直鎖型」ではなく、「ブッシュ型」と呼ばれる並列状の構築履歴になるようにモデルを作るべきである(図1)。直鎖型では、モデル修正の影響が連鎖的に全体に及ぶことが多く、モデル再構築時のエラーの原因になったり、モデル更新にいたずらに時間がかかったりする。ブッシュ型では修正の影響を限定化することで、そうした難点を軽減できる。

図1●ヒストリーベースの3次元CADにおけるモデル構築履歴の形状
ブッシュ型が望ましい。