あらゆるムダを見極める

 日本メーカーはこれまで、極端に高い精度の実現や多品種少量生産への対応といったユーザーニーズを満たすべく、製品ラインアップを拡充してきた。いつしか、最大公約数的な仕様の“大は小を兼ねる”製品が多くなり、ユーザー側も「必要な機能を持っていることが重要」と、不要な機能を問題視することはなかった。

 しかし、工場の海外移転が進み、新興国における工作機械の市場が拡大。同時に、新興国の工作機械メーカーも登場し、一気に低価格化が進む。ただ、当初は「日本メーカー製の工作機械は、性能・品質が優れているから価格が高くても売れる」という理屈が通じた。

 しかし近年、新興国メーカーが開発した工作機械の性能や品質も格段に向上しており、その図式は崩れつつある1)。さらに新興国だけでなく日本市場においても、工作機械に対する投資対効果を評価する目は厳しくなるばかりだ。一方で最近では、新興国のユーザーが求める機能・品質のレベルも高まり、新興国メーカーとの競争が激しさを増している2)

1)近岡,「米国工作機械見本市レポート、韓国・台湾メーカーが日本を猛追」、『日経ものづくり』,2010年11月号,pp.54-61.
2)中山ほか,「上海工作機械見本市レポート、加工品質の高さで迫り来る中国メーカー」,同上,2010年9月号、pp.62-68.