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「小型化」から再び「高性能化」へ(1)

2012/11/12 00:00
出典:日経マイクロデバイス、2009年11月号 、pp.38-39 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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図1 実装技術が再び「高性能」へ
実装技術の目的は,大型コンピュータ時代は「高性能」,携帯電話時代は「小型・軽量」だった。今 後は再び「高性能」になる見込みである。筆者のデータを基に本誌が作成。
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 現在広く使われている実装技術の多くは,大型コンピュータを高性能化するために開発された技術である(図1)。例えばMCM(multi chip module)は,米IBM Corp.が1980年に同社の大型コンピュータ「308X」シリーズで採用したのが最初といわれている。33層セラミック基板を使用していた。さらに同社は,1990年にビルドアップ基板「Surface Laminar Circuit(SLC)」を使ったMCMを導入した。また,今日のLSIパッケージの主流であるBGA(ball grid array)は,大型コンピュータ向けに開発された表面実装型の多ピン・パッケージである。多ピン化対応に優れ,高い放熱特性を有していた。その他にも多くの実装技術が,大型コンピュータの開発過程で生まれている。

 こうした大型コンピュータに使われた高性能化のための実装技術が,機器の“軽薄短小”化という流れに乗り,1990年後半から小型化のための実装技術へと役割を変えて,携帯電話機を中心とした民生機器向けに広く使われるようになった。軽薄短小という言葉は,一般的には1981年の流行語とされているが,実装の微細化技術による軽薄短小が機器に大きなインパクトを与えるようになったのは,1996年に発売されたソニーのビデオ・カメラ「DCR-PC1」からである。

 高性能のための実装技術とは,信号経路を短縮するための基板の微細ピッチ化や多層化の技術,パッケージの多ピン化や小型化などの技術である。これらの技術を,機器の軽薄短小化を進めるために使った。この意味で,今日の軽薄短小は,大型コンピュータ開発の賜物ということができる。高性能化と軽薄短小化は,実現手段としては一致していたのだ。

ビルドアップ基板やBGAが普及

 例えばビルドアップ基板は,1990年代後半から民生機器で使われるようになった。基板を多層化して実装面積を削減し,機器の軽薄短小に寄与した。その後,「ALIVH」や「B2it」のような層数自由度の大きいビルドアップ基板が登場して使いやすさが増し,コストも当初に比べて大幅に低下した。この結果,現在では携帯電話機などで主流の技術となっている。

 BGAも,米Motorola, Inc.とシチズン電子工業が民生機器向けに改良し,パソコン(PC)を中心に普及していった。使われ始めた当初は,接続端子が目視できないパッケージとして実装検査や信頼性保証の点で難ありとの懸念があった。しかし,現在ではその懸念も払拭されている。車載機器などの一部カテゴリを除いて広く使用され,携帯情報機器向けには20mm角以下のFBGA(fine pitch BGA),PCや据え置き機器向けには大型のBGAを使うといった具合にすみ分けている。

 一方で普及が進んでいない技術もある。例えばMCMから発展したSiP(system in package)技術は,民生機器の小型化・高速化・多機能化要求でその必要性が増すと思われていた。しかし,実際にはユーザーの機器メーカーのコスト要求が厳しく,SiPサプライヤーがその要望に答えられず,市場への普及は進んでいない。チップやKGD(known good die)の流通といったビジネス的な問題もあるが,SiPを構成する個々の実装技術がコストの壁を乗り越えられていない点が大きな課題になっている。

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