新構造のCMOSセンサー技術であるBSI(裏面照射)の製品化が相次いで始まった。BSI型CMOSセンサーは,まずはデジタル・カメラやデジタル・ビデオに搭載される。続いてハイエンドのカメラ付き携帯電話機への搭載が進む。低価格が売り物だったCMOSセンサーが,高画質用途に強いCCDセンサー市場を侵食していくことになる。出荷数量の大きな民生機器向けにBSI技術の導入が進むことによって,BSIの加工技術は3次元積層デバイスやMEMSデバイスなどほかのデバイスの進化をもたらす。
ビデオ・カメラ向けにCCDセンサー市場を切り開いたソニーが,“CMOS化”を進めている(図1)。開発リソースをCCDセンサーからCMOSセンサーにシフトしているのである注1)。CCD最大手の同社が,イメージ・センサーの高画質品はCCD,低価格品はCMOSというすみ分けを自ら崩した形だ。今後もデジタル・ビデオやデジタル・カメラなどの高画質イメージ・センサー市場にCMOSセンサーを投入していく(図2)。
ソニーに続きCMOS大手3社が参入
ソニーのCMOS化の流れを作ったのがBSI(裏面照射)技術である。BSIは,CMOSセンサーの唯一の欠点ともいえた感度の低さを新製造プロセスによって2倍に高めて解消するもの。既に同社が市場に投入したBSI型CMOSセンサー搭載機器の画質への評判は上々のようである注2)。BSI型CMOSセンサーは,高画質センサー市場において,今後,CCDセンサーを押しのけて主役に躍り出るポテンシャルを持つ。
注1)ただし,ソニーは,顧客が望めばCCDセンサーの出荷を継続するとしている。
注2)例えば,家電製品などの価格比較サイト「価格.com」のユーザーの書き込 みを見ると,暗所を撮影した場合の性能が高いという評判になっている。