豪華な実験設備を所有
Apple社は記者会見で,同社が誇るアンテナ試験設備を公開した。巨大な電波無響室や,人が入れるほど大きな3次元測定装置(多数のアンテナを円状に配置),遠方界測定に用いる遠方界用電波無響室など,どれも高価な装置ばかりだ(図5)。
Apple社は,これまでに1億米ドルを投資して,これらを含めた17の測定室を整備したとする。「日本メーカーでこれだけの設備を備えているところはほとんどない」(前山氏)。さらに,18人の博士号取得者がアンテナの開発に当たっている,としている。
「これだけの設備と人材を有しながら,なぜ今回の問題を事前に把握できなかったのか」。前山氏はこう疑問を呈する。アンテナ技術者であれば,人の手が触れる筐体外側にアンテナの放射器を設置するリスクを容易に想像できるはずだ。果たしてApple社は,事前に予測していなかったのか。もしくは,その影響は軽微と判断したのだろうか。