NAND型フラッシュ・メモリーは,50nm世代の量産を間近に控え,「微細化限界」が指摘されてきた40~30nm世代の量産時期がいよいよ3~4年以内に迫ってきた。フラッシュ各社はどのような技術でこの壁を破るのか。東芝と激しい開発競争を繰り広げている韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.の半導体研究部門の責任者に聞いた。

1983年に入社以来,64K~4GビットのDRAMや2G ~8GビットのNAND 型フラッシュ・メモリーなど,先端メモリーの開発に従事。現在は,新型不揮発性メモリーやSRAM,CMOS イメージ・センサーの研究も指揮する。これまでにメモリー技術に関して発表した論文数は350,取得特許数は95に及ぶ。(写真:柳生貴也)

NAND型フラッシュ・メモリーの微細化はどの世代まで継続できると考えますか。40~30nm以降は技術障壁が高いと指摘されています。

 新技術を絶えず導入していくことで,原理的には20nm世代まで継続できると考えています。ただし,多結晶Siに電荷を蓄積する浮遊ゲート型は,次の三つの要因から40~35nm世代で限界を迎える可能性があります。隣接するセルの浮遊ゲート間の容量結合の増大,浮遊ゲートと制御ゲートの容量結合の減少,そして蓄積する電荷数の減少です。

 この世代を浮遊ゲート型で乗り切ることが,われわれを含めたフラッシュ各社の第1の開発課題といえます。浮遊ゲートの形状をU字型にする,層間絶縁膜に高誘電率(high-k)材料を使うといった,材料および構造の改良が必要です。40~35nm世代に向けて,浮遊ゲート型の代替技術の開発も進めています。SiN膜に電荷を蓄積する窒化膜トラップ型を有力候補としていますね。