多様なデバイスをさらに統合していくために,どのような取り組みをしていますか。

 DRAMとフラッシュといった異種のメモリーの統合に加え,メモリーとロジックの統合が今後は重要になってきます。まずは似たプロセス技術を使うデバイス同士を1チップ化します。プロセスの異なるデバイスについては,パッケージング技術で統合します。いずれは異種プロセスのデバイスも1チップ化できる時代が訪れるでしょう。

応用機器別で見ると,パソコン(PC)に加え,モバイルやデジタル民生機器の分野に注力しています。

 メモリーでは,従来,PC向けがわれわれの売り上げの90%を占めていました。しかし,5年ほど前に,いずれは携帯電話機向けが重要になると考え,携帯電話機最大手のフィンランドNokia Corp.とともに携帯電話機向けDRAMの開発と市場開拓を推進してきました。携帯電話機向けに着目したのは,扱うコンテンツが動画になることで,大容量のバッファ・メモリーが必要になると予測したからです。その予測は的中し,今ではわれわれのメモリー売り上げのうち携帯電話機向けがおよそ30%を占めるまでになりました。PC向けは40%,デジタル民生機器向けが30%前後です。今後,非PC向けの売り上げ比率はさらに拡大するでしょう。

PC向けのNAND型フラッシュ・メモリーでは,HDD(ハード・ディスク装置)を置き換えるSSD(solid state disk)の需要に期待できます。

 現在,1ビット/セルのSLC(single level cell)を使った8Gバイト品を開発しています。これは容量当たりのコストがまだ高く,ニッチ市場向けといえます。しかし,今後は2ビット/セルのMLC(multi level cell)による低コスト品を提供する準備を進めています。これが市場に出ると,HDDに対して性能面ばかりでなくコストでも優位になり,需要はさらに拡大するでしょう。MLCを使うよりさらに低コスト化できる手法の導入も考えています。