韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.の半導体事業を率いるChang-gyu Hwang氏に,半導体業界の動向と同社の事業展開について聞いた。「次の5年間が,各社の将来を左右する重要な時期になる」と同氏は見る。技術革新を起こす力と新規市場を創出する力のない企業は,生き残れないと指摘する。微細化ペースの維持が難しくなっていることが背景にある。

1989年に韓国Samsung Electronics Co., Ltd.に入社。DRAMやNAND型フラッシュ・メモリーの研究開発を指揮。2000年にExecutive Vice President and head of the Memory Division,2001年にPresident of the Memory Division。2004年より現職。(写真は韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.が提供)

主力のメモリーでは,DRAMやNAND型フラッシュのほか,新型不揮発の開発にも積極的です。

 今後,メモリーには,DRAMやフラッシュ以外に,高速性といった特徴を持つ多様なデバイスが必要になると見ています。われわれは,さまざまな新型メモリーを開発しています。最も実用化に近いPRAM(phase change RAM)については,携帯電話機向けに2008年第1四半期に量産出荷する計画です。プログラム格納用に使われることの多いNOR型フラッシュの置き換えを狙っています。このほか,ReRAM(resistive RAM)やMRAM(magnetoresistive RAM)も開発中です。ReRAMはNAND型フラッシュ,MRAMはDRAMの代替を想定しています。

システムLSI開発にも力を入れています。ただし,メモリーほど高い収益を上げているようには見えません。

 確かにシステムLSIは,メモリーやイメージ・センサーに比べて,高い利益を出せるわけではありません。しかし,今後,半導体はメモリーだけではなく多様なデバイスを集積・統合していく必要があります。システムLSIは,その意味で欠かせないデバイスです。