日経エレクトロニクスは2009年10月,ニュース・メールを購読している,35歳以上の技術者を対象にしたアンケート調査を実施した。対象業種は電機,精密,半導体,電子部品である。

 その結果,「転職を検討したり,また実際に活動したりしたことがある」と回答した人は,全体の82.9%に達する。さらに「今後検討する可能性がある」 人を含めると96.3%になる。また,5人に1人の割合(303人中66人)で「早期退職勧告の対象になった」という点も見逃せない。

技術者としての生き方 

 終身雇用制度が崩壊した今,35歳以上の技術者は今後,自分のキャリアや働き方をどう考えるべき。技術の変化のスピードが激しい現在では,自分が獲得してきたスキルや知見があっという間に陳腐化する可能性が高い。 

 だが,いたずらに不安になる必要はない。アンケート結果にもあるように,転職経験者の多くは,転職して良かったと答えている(81%)。一般に技術者 は,収集したデータを論理的に処理するプロセシング能力にたけている。この資質は,いろいろな分野や職種で活用できるはずだ。 

 Aさんと同じように転職を経験した技術者たちに,そのきっかけや動機,何を考えどう行動したかを聞いてみた。そこに共通 しているのは,転職を自分を再定義するチャンスだと前向きにとらえて行動したこと─技術者の転職が当たり前になってきた時代を生き抜くヒントは,そこにあ りそうだ。

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