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第1回:突然の退職勧告、あなたならどうする?

道本 健二=日経BP社、大槻 智洋=NE特約記者、台北科技市場研究
2012/08/27 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2009年11月16日号 、pp.30-31 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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「会社に残ってもやることはないし,今辞めないと割増金は出ないよ」。今年50歳になるAさんは,会社からこう切り出された。

 Aさんは通信機器などを主力とする大手メーカーに入社し,これまでの25年間を半導体技術者として,主に研究・開発部門で過ごしてきた。自ら企画したア イデアを基に社内ベンチャーを興して商品化するなど,与えられる仕事以上のことをしてきた自負はある。ただ,この半年間は会社からの締め付けが厳しく, 「経費は使うな,出張はおろか外出も控えろ」といった状態だった。いずれ大なたが振るわれることは覚悟していた。しかし,まさか自分が所属する事業所が閉 鎖されるとは思ってもみなかった。

ここでリセットだ

 2009年4月に2度目の早期退職勧告が行われた時,Aさんは会社を辞めることを決断した。過去にヘッド・ハンティングの話はいくつかあったが,外に出るよりも会社を良い方向に持っていきたいと考えていた。それもかなわぬとあれば未練はない。

 そもそも一つの会社に長くいるメリットはもうない。事実,管理職の自分の年収は報酬カットによって,ここ数年下がり続けている。「ちょうど50歳の節目 を迎えたことだし,ここでリセットして残りの人生を考えよう」,そう決意した。転職することに不安がないわけではないが,妻は反対しなかった。

 自分の専門は半導体なので,できれば次もそれを生かしたいと思うが,前の会社で携わった通信関係の仕事はもういいという気持ちだった。「今後目があるとすれば,太陽電池かLED関連だろう」。そう狙いを定めて勉強を始めた。

 しかし,転職は思っていたほど簡単ではなかった。紹介される案件のうち,多くは年齢がネックになった。話を聞いてみると,「実は40歳以下の方を求めています」というケースが度々あった。「なかなか見つからない,ちょっと甘く見ていたな」。厳しい現実を思い知らされた。

何を優先するか

 だが,焦る気持ちはなかった。離職期間が長いと転職はますます不利になると聞いていたが,そもそも年齢が高いことが決定的に不利なので,半年や1年ぐら いかけて探すつもりでいたからだ。普通なら60歳で辞めるところが,10年早くリハーサルみたいな経験ができた。人生こんなもんだと思えば何も怖くない。

 2009年10月,Aさんは再就職を決めた。それは再就職支援サービスで紹介された,オーナー起業の半導体ベンチャーだった。その会社にとって新しい試 みとなるLED事業を自由にやらせてもらえる。それが決め手となった。小さな会社なので,年収は以前より300万円ほど減る。それでも,新しいことを責任 を持ってやらせてもらえる魅力は,何ものにも代え難い。

決して人ごとではない

 国内では今,Aさんのように40歳,50歳を過ぎてから転職を余儀なくされている技術者が増えている。世界的不況の波を受けて業績が悪化した大手電機 メーカーが,事業リストラの一環として数百人,数千人規模の人員の再配置や削減を行っているからだ。40歳以上の正社員に対して早期退職勧告を実施してい る企業が多い。

 退職勧告されても会社に残ることは可能だ。ただし,残った場合でも配置転換や転勤,出向などの厳しい条件を受け入れざるを得ない。自分のスキルや長所を生かせる仕事を続けられるとは限らないし,給与面などの条件も厳しくなるだろう。

 このため,転職などこれまで考えたことのなかった人でも退職勧告を受け入れるケースが増えている。Aさんのように“働きがい”を求めて新たな仕事を探す人も多い。

 たとえ今,早期退職勧告の対象ではない年齢だとしても,覚悟と準備はしておいた方がいい。自分はずっと1社で働き続けるつもりでも,会社はそう考えていないかもしれない。

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