サイバー攻撃の対象になるのはインターネットに接続したコンピュータだけ---とはいかないようだ。ここ数年、電力、ガス、水道、鉄道、交通といった社会インフラを支える制御システムでセキュリティリスクが増大している。

 特に2010年に猛威をふるった「Stuxnet」と呼ばれる不正プログラムはイランの原子力関連施設の装置を停止させ、リスクが現実のものとなっていることを認識させた。こうした重要な制御システムは、インターネットから隔離されたクローズドネットワークで運用している。しかし、不正プログラムはクローズドネットワークに侵入し、攻撃者が目標としていたシステムを停止せしめた。この特集では、重要システムをめぐるサイバー攻撃の最新動向と、企業のシステム担当者が取るべき対応策をトレンドマイクロの斧江 章一氏に解説してもらう。(日経コミュニケーション)

斧江 章一(おのえ しょういち)
トレンドマイクロ 執行役員 事業開発部部長
斧江 章一(おのえ しょういち) 大手OA機器メーカーの営業・マーケティングおよび外資系コンサルティング会社における事業戦略・事業開発・業務改革などのビジネスコンサルティングを経て現職。情報/制御システムセキュリティ分野におけるグローバルな事業開発を担当。イノベーティブな製品の企画・設計・販売を実施している。経営管理学修士・情報技術科学修士。経済産業省 制御システムセキュリティ検討タスクフォース委員。