東京スカイツリーを鮮やかに彩るライティング機器は、パナソニックが開発した*1。全ての照明にLED(発光ダイオード)を採用し、HID(High Intensity Discharge)ランプを併用したときと比べて消費電力を約4割削減する*2。
*1 ライティング機器のパートナー企業に決まった2010年3月当時はパナソニック電工としてだった。照明コンサルタントはシリウスライティングオフィス(本社東京)、照明機器施工は電気興業。
*2 粋パターンで約43%、雅パターンで約38%の省エネ効果がある。いずれも、時計光照明や鉄骨交点照明にLED照明、これら以外にHIDランプを採用した場合との比較。
しかし、東京スカイツリーの照明設計では当初、HIDランプを中心に使うことが考えられていた。そのため、機器の大きさや取り付け位置、質量はHID向けとなっており、そうした制約を満たすためには、新たなLED照明を開発する必要があった。
HIDランプを前提に設計した光量を確保するために、LEDを設置する数を増すといった方法は選べない。そのため、LEDの技術だけでなく、その光路を制御する「パラボラ曲面反射板」の開発が焦点となった。
140m先まで明るくする
東京スカイツリーのライティング・パターンとしては大きく「粋」と「雅」という2種類がある(図1)。これらを実現するために必要だったLED照明器具は6種類で、合計1995台が設置されている(図2)*3。
*3 雅パターンでは、塔体の足元周囲に設置した雅色の照明で上に向かって鉄骨の外側を照らす。両パターンに共通するゲイン塔の照明は、ゲイン塔の根元部分からゲイン塔の上部をライトアップし、ゴールド色の照明は地上や展望台の下側などから鉄骨を照らす。