A statue of Yoda from the Letterman Digital Arts Center
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 2005年10月には,シンガポールにLucasfilm社のアニメーション部門がスタジオを設けた。Lucasfilm社はこの2つの拠点で,アーティストたちが物理的な限界や技術の制約を乗り越えて働けることを目指す。サンフランシスコにいようとシンガポールにいようと,アーティストたちはあたかも仮想的なデジタル・スタジオにいるかのように,リアルタイムで連携できる。

Television’s New Hope

 振り返れば,1970年代にGeorge Lucasが「エピソード4/新たなる希望」を手掛けて以来,彼を中心とする反体制派たちは,驚くべき技術進歩をもたらした。自由自在な映画制作を追い求めたGeorgeの情熱が,デジタル技術へ彼を導いた。ハリウッドから遠く,シリコンバレーに近い場所に拠点を構えることで,内向きの議論に巻き込まれずに,ほとんど独力で業界全体をデジタルの領域へ引きずり込んだ。Lucasfilm社がここまで膨大な資金や技術陣を投入しなければ,デジタル・シネマの実現は何年も遅れただろう。

 HD映像が家庭のリビング・ルームにまで押し寄せる現在,Georgeはこれからはテレビに注力すると表明する。デジタル技術でつないだ2つの大陸のスタジオで,Lucasfilm社はこの分野に取り組みつつある。同社は3次元コンピュータ・グラフィックスを用いたテレビ・シリーズを2007年に始める予定だ。Lucasfilm社が映画制作の技術を変えてきた歴史を見る限り,テレビ業界が相当尻をたたかれることは間違いない。

 Georgeの足跡は,もっと密やかなところにも残っている。技術関連企業の従業員の多くは,一皮むけばSTAR WARSファンだ。最新のエピソードは,さらに多くの子供たちをSTAR WARSの世界に引き込んだ。デジタルの香気を存分に吸ったSTAR WARSファンたちが,さらなる技術革新の見えない原動力である。