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 AMD社でLucasfilm社と接触したのは,現在はDirector of Digital Media & Entertainmentを務めるCharlie Boswellである。音楽学校をドロップアウトした後,電子工学の学位を取り,今や7つのソフトウエア特許の持ち主だ。Charlieをコンテンツ業界との橋渡し役に抜擢したのが,同社CEOのHector Ruizだった。もちろん,Charlie はSTAR WARS ファンである。

Charlie Boswell

 Charlieは,Danが望んでいるのはpre-vizに使うソフトウエアとハードウエアをうまく統合できるパートナーだと悟った。「Lucasfilm社が求める画像の複雑さや厳しいスケジュールは,業界の中でも最高に高いハードルだった」(Charlie)。それはあたかも,最上位のグラフィックス・スーパーコンピュータのユーザーと,厳しいスケジュールに追い立てられながら働くようなものだった。Charlieは,Lucasfilm社を満足させられるなら,他の映画やテレビの制作スタジオと働く機会が生まれると考えた。Hectorに直談判したCharlieに,Lucasfilm社とのプロジェクトを許可する青信号がともった。

 AMD社の主な役割は,同社の32ビット・マイクロプロセサ「Athlon」と米NVIDIA Corp.のグラフィックスLSIを用いたワークステーション上で,WindowsとMayaを安定して動かすことだった。まずAMD社は,2001年12月に3~4台のワークステーションを持ち込んだ。Danの記憶によれば,どこかの展示会で並べていたものを持ってきたらしい。その後AMD社は,米BOXX Technologies,Inc.と協力して12台のワークステーションを作り上げ,2002年2月にDanの配下のアーティスト12人に割り振った。

 Danのチームは,これらのハードウエアを用いて,合計4400のpre-vizシーンを作り,2200ショットが実際の映画に使われたという。こうして始まった両社の付き合いは,エピソード3ではAMD社の研究開発部門をも巻き込んで広がっていく。