台湾FPD大手のChimei Innolux(CMI)社への注目度が高まっている。主要株主の一つである台湾Hon Hai Precision Industry社(鴻海精密工業、通称Foxconn)がシャープと提携したからだ。両社の提携によってCMI社の位置づけはどう変わるのか、FPD関係者の注目が集まっている。取り沙汰されていた経営不安については、債務の支払期限延長で銀行団と合意できた。2012年第1四半期の業績も、赤字だったが改善は進んでいる。反転攻勢への舵取りと、機運が高まっている台日連携について、同社President of Tainan SiteのJyh Chau Wang氏に聞いた。

台湾Chimei Innolux社 President of Tainan SiteのJyh Chau Wang(王志超)氏
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――2012年のFPD市場の見通しは。

 現在のFPD市場を応用製品別に見ると、伸びているのは、ノート・パソコン、タブレット端末、「Ultrabook」向けの市場です。米Apple社の製品のブームが後押しして、全体で年率2ケタの成長をしています。特に、タブレット端末向けの市場は飛躍的に成長しています。

 一方、飽和状態を迎えているのがモニター向けとテレビ向けの市場です。モニター向けの成長率は年率3~4%にとどまっています。テレビ向けディスプレイ(PDP、CRT含む)全体の成長率は年率3~4%、液晶テレビのみで見ても成長率は10%未満にとどまると見ています。テレビ向けのFPD市場を地域別に見ると、日本はすでに飽和し、北米や欧州も90%近い普及率に達しています。現状、テレビ向け市場の成長を促進できるのは発展途上国です。中国市場は、2012年はまだ成長し続けると見込んでいます。ただ、近い将来に成熟期へ入っていくでしょう。

 2013年のFPD市場も、2012年とほぼ同様の見込みです。

 パネルの供給側を見ると、日本・韓国・台湾のパネル・メーカーは設備投資を抑えようとしていますが、中国の液晶パネル・メーカーの投資計画は継続しています。また、中国以外の液晶パネル・メーカーが中国大陸に投資する計画もあります。FPD市場がさらに成長するのかどうか不透明な状況の中で、過剰な投資が続けば、パネルの需給バランスは崩れてしまうでしょう。