エネルギー効率、モビリティー、セキュリティーに対応する半導体やシステム・ソリューションの提供を掲げるドイツInfineon Technologies社。現代社会が抱える三つの課題とするこれらの分野に注力することで事業拡大を図っている。同社の注力分野は、日本メーカーが強みがある分野と合致する。同社にとって日本市場は、顧客だけでなく競合も多い。同社日本法人のインフィニオン テクノロジーズ ジャパン 代表取締役社長 森康明氏に、日本市場の魅力や事業展開について聞いた。(聞き手は、大久保 聡=日経エレクトロニクス編集長)

――Infineon社における、日本市場の位置付けを教えてください。

森康明氏
森康明氏
インフィニオン テクノロジーズ ジャパン
代表取締役社長

 とても重要な市場ととらえています。エレクトロニクス産業には今、地域的な役割分担があります。生産であれば中国をはじめとするアジア諸国ですよね。日本はかつてのように大々的に生産するのではなく、新たな役割がいくつか求められています。それを我々が理解して日本でのビジネスを進めています。

 日本の課題として今、いかにグローバル展開を進めていくのかということがあります。欧州系企業であるInfineon社は世界各地に拠点があり、サービスセンターなどのインフラが備わっています。Infineon社の日本での存在感はまだ大きいとはいえませんが、世界的にはメジャーな半導体メーカーです。日本法人である我々の顧客がグローバル展開をされるとき、我々はそのグローバル展開をお手伝いできるインフラが整っているといえます。

――Infineon社の世界的な位置付けはどうなっていますか?

 調査機関のデータによれば、車載半導体は2011年にシェア10%で世界第2位、パワー半導体は11%で第1位、チップ・カードは27%で第1位です。車載半導体は、ルネサス テクノロジとNECエレクトロニクスが合併する前には世界シェア第1位でした。第1位のルネサス エレクトロニクスを追いかけているところです。一昨年に比べると、Infineon社のシェアは1ポイント程度上がりました。

 車載半導体については、日本でのシェアはほんの数年前は8位、9位でしたが、ジリジリと順位を上げています。2009年はシェア2.8%で第8位、2010年は3.3%で第6位、そして2011年は3.8%で第4位です。10年前はシェア・ランキング上位に名前が載っていなかったことを考えると、今は顧客に我々の力を認めていただけるようになったのかなと思います。自動車において半導体の重要性はますます高まっており、搭載個数は増え続けています。特に日本車は半導体の搭載個数の伸びがすさまじいので、それが我々のシェア増加につながっているのでしょう。