携帯端末や民生機器、産業機器、自動車など、広い分野で電源関連を中心に事業を展開する米Fairchild Semiconductor社。同社製品を用いることでエネルギー効率を高められることを掲げ、半導体市場での存在感を高めようとしている。エネルギー効率を高めるという考えは、日本の機器メーカーが強みを持つ製品と共通する。同社の日本法人であるフェアチャイルドセミコンダクタージャパン 代表取締役社長の雨宮隆久氏に、日本市場でどのようにして事業を進めているのかを聞いた。(聞き手は、大久保 聡=日経エレクトロニクス編集長)

――Fairchild Semiconductor社の日本における事業領域はどのようになっていますか。

雨宮隆久氏
雨宮隆久氏
フェアチャイルドセミコンダクタージャパン
代表取締役社長

 Fairchild Semiconductor社の事業構成から紹介しますと、ハイ・ボルテージ品(高耐圧品)の事業がだいたい半分くらいを占めています。ロー・ボルテージ品(低耐圧品)が4割程度、残り1割程度がスタンダード製品と呼んでいる製品群になります。

 日本において我々は今、四つの軸で動いています。第1の軸が、エアコンを中心としたホームアプライアンス分野です。当社製品のSPMを中心に、周辺のさまざまなディスクリート部品を展開しています。SPMは前述のハイ・ボルテージ品に入り、日本においても当社はハイ・ボルテージ品の比率が高い状況です。

†SPM=IGBTや高耐圧制御用IC,低耐圧制御用IC,整流ダイオードを1パッケージに収めたモジュール、いわゆるIPM(intelligent power module)のこと。Fairchild Semiconductor社はSPMと呼ぶ。

 第2の軸が、ゲーム機や携帯端末などの分野でして、日本では特にゲーム機向けの引き合いが多いですね。電源周りのMOSFETを中心に、ある程度のシェアを占めているとみています。USB関連のスイッチのシェアも高く、4割くらいに達するのではないでしょうか。

 第3の軸が、今後期待している電源分野です。産業機器や民生機器などさまざまな用途がありまして、サーバー機や通信基地局、テレビの電源、最近では太陽光発電のパワー・コンバータやインバータに向けた半導体製品を電源メーカーなどに展開しています。

――日本において電源などの分野は大きく伸びそうですか。

 産業機器などの電源向けは、伸びしろが非常に大きいとみています。現段階では我々の売り上げは大きくないのですが、今進めているプロジェクトを考えるとここ1~2年の間の成長率がとても高いですね。今後、3年から5年のスパンで考えたときは、全体の売り上げに占める割合が大きくなっていくでしょう。  電源関連の伸びは、日本に限った話でなく、世界全体でみても大きな成長が見込まれています。