産業計測分野に通信インフラ分野、車載分野など、半導体市場の拡大が見込まれる分野で事業を強化する米Linear Technology社。同社は2011年度(2010年7月~2011年6月)の売上高が過去最高を記録した。同社が得意とするアナログ技術が売り上げ増に結びついただけでなく、かつて主力だった民生分野向けから上記の注力分野向けに事業をシフトしたことが効いているという。同社は注力分野において、日本市場での事業拡大を期待する。同社の日本法人であるリニアテクノロジー 代表取締役の望月靖志氏に、Linear社における日本市場の位置付けや日本市場の魅力について聞いた。(聞き手は、大久保 聡=日経エレクトロニクス編集長)

――リニアテクノロジーの日本における事業状況から教えてください。

望月靖志氏
望月靖志氏
リニアテクノロジー
代表取締役

 我々の日本でのビジネスは大きく伸びています。私自身がリニアテクノロジーに入社した1998年当時、Linear Technology社の世界全体の売り上げの中で、日本はわずか6~8%でした。それからグングン伸びて行き、我々の2012年度の最終四半期(2012年4~6月)である現段階では、16~17%に上がってきました。私は近い将来、Linear社全体の18~20%を占めるようになってもおかしくないと思っています。

 私が入社当時、Linear Technology社において日本はアジアの1地域という位置付けでした。何とかして日本の事業を大きくしたいと活動していた中で、イノベーションが起きました。ノート・パソコンの拡大です。パソコンが、いわゆる据置型からノート・パソコンにシフトする中で、携帯性の重要性が増し、電池寿命を伸ばさねばならない、液晶画面をもっと明るくしたい、といった要求が強まってきたのです。そこに、我々は付加価値の高いアナログICを提供していきました。

 それと同時に、日本では携帯電話機の市場拡大とカラー化の進展が起きた。カラー化する際、画面が明るくないと画像をきれいに映し出せないので、電池の電圧を昇圧せざるを得ない。うまくやらないと昇圧回路からノイズが出てしまうので、我々は低ノイズの電源管理ICを提供しました。一時期は、どのノート・パソコンや携帯電話機を開けても当社の電源管理ICが入っていたという状況でした。