省エネの切り札として期待される次世代パワー半導体材料のSiCとGaN。両材料を用いたパワー素子の利用環境が整いつつある。既にSiC製ダイオードは、鉄道向けモータ用インバータ装置や、家庭用のエアコンなどへ採用され始めている。SiC製MOSFETもついに製品化された。一方GaN系パワー素子は、製品化が徐々に始まっている。本連載では、次世代パワー半導体の技術動向と共に、2011年秋以降に日経エレクトロニクスで掲載した関連記事を紹介する。
存在感増す次世代パワー半導体
目次
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進化するSi製パワー素子、特性面でGaNに迫る
ICEMOS社とオムロンが開発
出典:日経エレクトロニクス,2011年9月5日号, (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります) インバータやコンバータなどの電力変換器に用いるパワー素子において、現行のSiよりも大幅な電力損失低減を見込めるGaN。Si製パワー素子の性能向上が頭打ちになりつつある中で、このG…
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酸化ガリウムのパワー半導体、SiCよりも高耐圧・低損失に【後編】
NICTやタムラ製作所らがトランジスタを試作
出典:日経エレクトロニクス,2012年2月6日号, (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります) (前編はこちら) 基板の製造法に「FZ(floating zone)法」や「EFG(edge-defined film-fed growth)法」といった融液成長法を利用できる点も…
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酸化ガリウムのパワー半導体、SiCよりも高耐圧・低損失に【前編】
NICTやタムラ製作所らがトランジスタを試作
出典:日経エレクトロニクス,2012年2月6日号, (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)
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SiCの低コスト化に道、SBDはSiの2倍未満が現実的に【後編】
MOSFETのオン抵抗はSiの1/20以下に
SiC製SBDの普及が見えつつある一方で、MOSFET開発の焦点はSiCの優れた材料特性を引き出すことにある。中でも、導通時の損失抑制につながるオン抵抗の低減について、研究開発が進んでいる。目標は、Si製パワー素子と比較してオン抵抗を1/10未満にすることだ。
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SiCの低コスト化に道、SBDはSiの2倍未満が現実的に【前編】
MOSFETのオン抵抗はSiの1/20以下に
出典:日経エレクトロニクス,2012年1月9日号, (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります) Si製パワー半導体素子(以下、パワー素子)と比較して電力損失が小さい、高速なスイッチングが可能、耐熱性が高いなど、特性面で優れるSiC製パワー素子。ショットキー・バリア・ダイオー…
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GaN系パワー素子は、Si基板を使い安価に
GaNに関しては、LEDや半導体レーザといった発光素子、基地局向け高周波素子で製品化されているものの、パワー素子向けの製品化は始まったばかりで、SiCの後塵を拝している。だが、その状況も変わりつつある。製造コストの低減と、電気特性の向上が急ピッチで進んでいるのだ。
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SiC製MOSFETの普及はトレンチ型から
パワー素子向けSiC製トランジスタに関しては、既に製品化が始まっているものの、ダイオードよりも普及しておらず、ごく一部の用途にとどまる。トランジスタは、ダイオードに比較して製造プロセスが複雑なため、歩留まりも低く、高価だからだ。さらに、以前よりもペースは鈍くなってきているものの、Si製トランジスタの…
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SiC製ダイオードが実用化で先行
GaNとSiC製パワー素子のうち、製品化で先行するのがSiCである。中でもSiC製ダイオードの利用が今後急速に増えそうだ。
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パワー半導体に次世代の波
コンバータやインバータといった電力変換器で、その電力制御に利用する「パワー半導体」。そのパワー半導体材料に次世代の波が押し寄せている。SiC(シリコンカーバイド、炭化珪素)やGaN(ガリウムナイトライド、窒化ガリウム)である。いずれも現行材料であるSi(シリコン、珪素)の物理特性を凌駕する、「省エ…