コンテンツを広げる取り組みはアミューズメントや出版にも

――アミューズメントや出版事業への参入も発表しましたね。

日野氏:コンテンツを広げて、いろんなところで遊んでほしいということで、さまざまな可能性を試してみたいと思っています。アミューズメントについては、まだ実際に稼働させていないので、何とも言えないのですが、大変な面もありそうですね。

 出版事業については、この事業を強くやりたいスタッフがいて、その熱意で手がけている部分があります。僕自身も、その後押しをしてやりたいなと思っています。

――海外、とくにアジアなどでのビジネス展開については可能性をどう見ていますか。

最近では“ゲームクリエーター”の枠を超えて活動をしている日野氏

日野氏:アジアでの家庭用ゲームについては、コピー問題など、「良いソフトを作れば、きちんと売れる」とストレートにビジネスが進められない部分があるので、現時点ではあまり積極的には考えていません。ただ、チャンスはあると思うので、しっかりしたビジネスモデルが確立したら、そこでもソフトをリリースしていきたいと考えています。

――日野さん自身のクリエーティブ活動についてはいかがですか。毎日、お忙しいと思います。

日野氏:大変な状況です(笑)。『イナズマイレブン』『ダンボール戦機』『レイトン教授』の3つが同時進行で、最新作の企画を練ったり、シナリオを書いたり、ゲームシステムを考えたりしています。テレビアニメや映画のストーリーを書くのもライフワークのようになっています。もはや“ゲームクリエーター”という感じではなくなっている部分がありますね(笑)。もちろん、1から10まで僕がすべて手がけるわけではなく、ピラミッドの頭のトップの部分を作って、その下の部分は任せています。

 また、映画を手掛けたりもしていますが、それも結構重いですね。映画も最近では自分で脚本を書きます。2011年末に公開した『劇場版イナズマイレブンGO 究極の絆 グリフォン』でも、最初に企画を立てて、原案を作って、脚本を書いて、まるで元から映画スタッフだったかのような動きをしていましたね。

『劇場版イナズマイレブンGO 究極の絆 グリフォン』
2011年12月23日公開

家庭用ゲームとソーシャルゲームの両方を成功させる

――最後に今年度の目標を教えてください。

新クロスメディアプロジェクト『妖怪ウォッチ』に対する意気込みを語る日野氏

日野氏:新しいコンテンツを生み出していくことですね。今年は『シンデレライフ』『GUILD01』『タイムトラベラーズ』『ファンタジーライフ』のリリースに加えて、さらに『妖怪ウォッチ』を軌道に乗せることです。これは、『イナズマイレブン』や『ダンボール戦機』のようなテレビアニメやマンガに展開するクロスメディアプロジェクトですが、今回の作品も一気に立ち上げていくつもりです。

 それから、ソーシャルゲームについても、たくさん仕込んでいきますが、何か1つは成功を実現させたいと思っています。

 もちろん家庭用ゲームは家庭用ゲームとしてやっていかなければならないし、ソーシャルで面白いものが出てくれば、そちらでも発展させたい。ゲームというカテゴリに対するビジネスの幅が広がっていくのは面白いと思います。

 ですので、今年は家庭用ゲームもソーシャルゲームも、両方での成功を目標にします。

――どうもありがとうございました。

『妖怪ウォッチ』
発売日、プラットフォーム未定。ゲームを原作として、テレビアニメ、マンガへの展開を予定するクロスメディアプロジェクト。ある日、妖怪と出会った少年は、「妖怪ウォッチ」という妖怪の姿が見える時計をもらい――
この記事は日経トレンディネットから転載したものです。