まだまだライト層が少ない新ハード

――3DS向けには、2011年2月のハード発売と同時に『レイトン教授と奇跡の仮面』を、2011年12月には『イナズマイレブンGO シャイン/ダーク』をリリースしました。その間、3DSは本体価格の値下げで販売台数が増加しましたが、この1年でユーザー数が伸びてきた実感はありますか。

日野氏:そうですね。それはかなり変わってきていると思います。特に昨年末は、きちんと売れるハードになったと感じました。ただ、3DSは、現時点ではコア層が中心に買っている状態だと思います。ですから、ライト層狙いの僕らとしてはまだまだ。コア層からだんだんと広がって、その周辺層に至らないと本格的なビジネスにはなりませんね。

――『イナズマイレブンGO シャイン/ダーク』の反応はいかがでしたか。

日野氏:問題視されるのは、子供たちへの3DSの普及率ですよね。ずっと継続して売れてはいますが、まだまだというところだと思います。

 レベルファイブのビジネスとしては、コア層の周辺に伸びていく“その部分”が主なターゲットで、コア向きというのはあまりやっていないんですよね。そこが今の問題でもあります。1本くらい、コア向けのゲームを持っておく必要があるなとも考えています。

――PS Vitaに関してはどのように見ていますか。

日野氏:PS Vitaは、PSPくらいに普及して、かつコピーが横行しないような対策をしてもらって、きちんとビジネスできる市場を作ってほしいですね。

 現状はPS Vita向けに、子供たちに受け入れられるようなタイトルを展開したいという想いがありますが、(コアが先行している状態であるため)ユーザーがいないところに出しても仕方ない。PS Vitaにはもっともっと子供たちを持ってこなくちゃいけないですし、全体としてライト層を取ってこなければならないですね。

『レイトン教授と奇跡の仮面』
2011年2月26日発売、3DS

大作ゲームとコンパクトなゲームが並存へ

――新たな取り組みとしては、4つのゲームを1本にまとめたゲームオムニバス『GUILD01(ギルドゼロワン)』をリリースしますね。これまでとは売れ方も変わってくると思いますか。

大作ゲームだけではなくコンパクトなゲームにも対応した制作体制を整えたいと話す日野氏

日野氏:変わってくると思います。ダウンロードビジネスが主流になっていくなか、コンパクトなゲームが見直される時期になったと感じています。

 大作ゲームと、ソーシャルゲームを含むコンパクトなゲームの2つのラインが併存する形になると見ています。「僕らは大作ゲームだけを作っていれば、とりあえず大丈夫です」ではなくて、コンパクトなゲームに対するニーズにもこたえられる制作体制も整えたいと考えています。

 そのような意味で、『GUILD01』を含めて、いろいろな方向性を試していますよ。

――ダウンロードコンテンツの販売についてはいかがですか。

日野氏:これからは、どのハードもダウンロードコンテンツを中心に展開する仕掛けになっていくと思います。ダウンロードのみでソフト本体を販売するもの、追加でアイテム課金するもの、ソフト本体は無料でアイテム課金だけで収益を上げていくものなど、家庭用ゲームでも、そういうビジネスモデルがあるんだろうなと思っています。

『GUILD01』
2012年5月31日発売予定、3DS。著名クリエーター4人によるタイプの異なるゲームを1つのパッケージに収録、全体をレベルファイブがプロデュースする、新しいタイプのゲームオムニバス。また、『タイムトラベラーズ 特別編』がスペシャル収録され、一定の条件をクリアするとプレー可能になる。上から順に『AERO PORTER(エアロポーター)』『解放少女』『CRIMSONSHROUD(クリムゾンシュラウド)』『レンタル武器屋 de オマッセ』

ソーシャルゲームの制作は“専門家”に任せる