2012年3月には、グリーとのグローバルにおける包括的業務提携を発表し、ソーシャルゲームにも本格参入する。同社の日野晃博社長に、既存プラットフォームとソーシャルゲームの展開について話を聞いた。
(聞き手/中村 均、秦 和俊、写真/イクマ サトシ)
――昨年度は、新型ゲーム機の発売やソーシャルゲームの躍進などが目立ちましたが、ゲームマーケットやユーザーの反応などに変化はありましたか。
日野晃博氏(以下、日野氏):ファンの方に接したり、ユーザーの方からの声を聞く限りでは、あまり変化を感じないですね。
ただ、ハードが切り替わることによる戸惑いはあるようです。(メーンとなるプラットフォームは)“ニンテンドー3DS(3DS)でいいの?”、あるいは“これからはプレイステーション・ポータブル(PSP)なの?”といった反応です。我々もPSPで『ダンボール戦機』を出したり、3DSで『イナズマイレブンGO シャイン/ダーク』を出したり、一つに定まっていません。
昔はニンテンドーDSだけに絞っていましたが、2011年はハードの切り替わりの年で、その過程でいろいろなプラットフォーム向けに出すようになったので、そういう意味ではビジネスがしにくい1年でした。
“勝ちハード”が出てこない
――今は、“勝ちハード”と明確に言えるものがないですよね。
日野氏:携帯型の普及においては、3DSにもっとガツンと行ってもらわないと、ソフトの販売本数を大きく期待できません。プレイステーションVita(PS Vita)も、一気に立ち上がるのかと思っていましたが、僕らの想定よりは遅かった。“勝ちハード”が欲しいですね。
――“勝ちハード”が出ない要因はどこにあるでしょうか。
日野氏:それは簡単なことで、ソフトに要因があると思います。ユーザーの方にとっては、欲しいタイトル、すなわち、自分にとってのローンチソフトが出てくるまでは買わない。『イナズマイレブン』が好きな人は、イナズマが出るときにハードと一緒に買う。『モンスターハンター』もそうだし、『スーパーマリオブラザーズ』もそう。すぐにでも欲しいタイトルが足りないだけのことだと思います。
――レベルファイブがそこを仕掛けて、一気にマーケットを作っていこう、という考えはないのですか。
日野氏:「自分がこのハードを買わせてやる!」と仕掛けていく考えはあまりないですね(笑)。ちゃんとビジネスを成り立たせていきたいので、きちんと状況を見て、そこに合ったタイトルを供給していくのが本来の理想です。ただ、僕らも待っている余裕まではないので、当初の予定通り出していく形になっていますよ。