『レイトン教授』『イナズマイレブン』『二ノ国』『ダンボール戦機』と、柱となるタイトルを着実に増やしているレベルファイブ。テレビアニメ、マンガ、映画など、コンテンツのクロスメディア展開でも業界をリードする立場となった。
 2012年3月には、グリーとのグローバルにおける包括的業務提携を発表し、ソーシャルゲームにも本格参入する。同社の日野晃博社長に、既存プラットフォームとソーシャルゲームの展開について話を聞いた。
(聞き手/中村 均、秦 和俊、写真/イクマ サトシ)

――昨年度は、新型ゲーム機の発売やソーシャルゲームの躍進などが目立ちましたが、ゲームマーケットやユーザーの反応などに変化はありましたか。

レベルファイブ 代表取締役社長/CEO 日野晃博氏

日野晃博氏(以下、日野氏):ファンの方に接したり、ユーザーの方からの声を聞く限りでは、あまり変化を感じないですね。

 ただ、ハードが切り替わることによる戸惑いはあるようです。(メーンとなるプラットフォームは)“ニンテンドー3DS(3DS)でいいの?”、あるいは“これからはプレイステーション・ポータブル(PSP)なの?”といった反応です。我々もPSPで『ダンボール戦機』を出したり、3DSで『イナズマイレブンGO シャイン/ダーク』を出したり、一つに定まっていません。

 昔はニンテンドーDSだけに絞っていましたが、2011年はハードの切り替わりの年で、その過程でいろいろなプラットフォーム向けに出すようになったので、そういう意味ではビジネスがしにくい1年でした。


『ダンボール戦機』
2011年6月16日発売、PSP
『イナズマイレブンGO シャイン/ダーク』
2011年12月15日発売、3DS

“勝ちハード”が出てこない

――今は、“勝ちハード”と明確に言えるものがないですよね。

日野氏:携帯型の普及においては、3DSにもっとガツンと行ってもらわないと、ソフトの販売本数を大きく期待できません。プレイステーションVita(PS Vita)も、一気に立ち上がるのかと思っていましたが、僕らの想定よりは遅かった。“勝ちハード”が欲しいですね。

――“勝ちハード”が出ない要因はどこにあるでしょうか。

各ハードの普及状況を見ながら、その状況に合ったタイトルを供給するのが本来の理想と語る日野氏

日野氏:それは簡単なことで、ソフトに要因があると思います。ユーザーの方にとっては、欲しいタイトル、すなわち、自分にとってのローンチソフトが出てくるまでは買わない。『イナズマイレブン』が好きな人は、イナズマが出るときにハードと一緒に買う。『モンスターハンター』もそうだし、『スーパーマリオブラザーズ』もそう。すぐにでも欲しいタイトルが足りないだけのことだと思います。

――レベルファイブがそこを仕掛けて、一気にマーケットを作っていこう、という考えはないのですか。

日野氏:「自分がこのハードを買わせてやる!」と仕掛けていく考えはあまりないですね(笑)。ちゃんとビジネスを成り立たせていきたいので、きちんと状況を見て、そこに合ったタイトルを供給していくのが本来の理想です。ただ、僕らも待っている余裕まではないので、当初の予定通り出していく形になっていますよ。

まだまだライト層が少ない新ハード