ソーシャルゲームも利益率30%が成功の目安に

――中国市場向けに展開しているソーシャルゲームは『100万人の三國志』なのでしょうか。

「中国向けソーシャルゲームでは、競い合う要素を強めている」と話す、襟川氏

襟川氏:いや、『1億人の三國志』ですよ。100倍を目指していますから(笑)。このタイトルは中国テンセントでサービスされるものです。グリーさんがテンセントと業務提携しているので、その枠組みの中で取り組むタイトルとなります。テンセントのページの良い場所に置いてもらっておりまして、ユーザーも急激に増えております。

 ソーシャルゲームの分野でも、日本のユーザーと中国のユーザーの間で、「面白い」と感じてもらえるポイントがちょっと違うことが分かりました。中国のユーザーは“競い合う”という要素に、とても反応するのです。

 日本の場合は“協力し合って何かを実現する”ということを好む傾向があります。例えば、カプコンさんの『モンスターハンター』がありますよね。あれは協力してモンスターを倒すというタイプのゲームです。『信長の野望オンライン』なら、ユーザー同士がチームになって、強力な妖怪を倒しにいきます。みんなで協力して何かを成し遂げることが好まれます。

 『1億人の三國志』(中国版)ではゲームシステムの内容を『100万人の三國志』(日本版)から少し変えて、ユーザー同士が競い合うという要素を強めています。これまで、『真・三國無双オンライン』をアイテム課金でずっとサービスしてきていますから、そういう傾向については理解しているつもりです。中国市場は、難しい市場というイメージがあるかもしれませんが、実際の運営を現地企業に任せておりまして、非常に良い関係でビジネスができていると思っています。

――ソーシャルゲームの『100万人の大航海時代』などはこれからアジア圏での展開を始めると思いますが、状況はどのようでしょうか。

襟川氏:オンラインサービスしている企業がたくさんあるので、それぞれ交渉をしている最中ですが、台湾が一番早いですね。すでに契約を済ませております。あとはタイ、シンガポール、インドネシアといったところで交渉しています。これらの地域は経済的に発展していますので、マーケットとして期待している地域ですね。

――ソーシャルゲームの開発は、運用も含めて人材不足と聞きますが、実際はどうでしょうか。

襟川氏:業界用語的には、ポートフォリオの組み替えというもので、収益性がいまひとつなものはそこでサービスをやめて、次のプロジェクトに取り掛かるようにしています。オンラインゲームの部隊は現在300人くらいいますが、その300人で利益が最大化するようにタイトルを組み替えていく。それをやるのがマネジメントですね。

――100万本出荷達成、というような数字が見えるパッケージビジネスとは違って、ソーシャルゲームのヒットの基準は何だとお考えですか。

襟川氏:一つは、コーエーテクモの連結の営業利益率は30%を目標にしていますから、ソーシャルゲームも利益率30%というのが目安です。数%しか利益が出ないソーシャルゲームがあったら、もっと稼げるプロジェクトに振り替えていったり、融合させたりします。あるいは、新しいゲームに作り直していくといったことも実施しますね。今後の主軸をフィーチャフォンから、スマートフォンに切り替えていくタイミングではそうしたことをやることになると思います。

『1億人の三國志』
【価格】基本プレイ無料(アイテム課金)、【プラットフォーム】Tencent Wireless Open Platform for Community、(C)2011-2012 コーエーテクモゲームス All rights reserved.
『100万人の三國志』
【価格】基本プレイ無料(アイテム課金)、スマートフォン版「GREE」Android2.2以上対応機種(一部機種を除く)/iOS端末:iPhone3GS、iPhone4、iPod touch(第2世代以上)、iPad、iPad2(iOS 4.0以上が必要)、フィーチャーフォン版「GREE」docomo:Flash Lite 1.1対応機種/au:Flash Lite 1.1対応機種/SoftBank:Flash Lite 1.1対応機種(一部機種を除く)、(C)2010-2011 コーエーテクモゲームス All rights reserved.
『100万人の大航海時代』
【価格】基本プレイ無料(アイテム課金)、【プラットフォーム】フィーチャフォン:docomo、au、SoftBank:Flash Lite 1.1以上対応機種(一部機種を除く)/スマートフォン:Android OS 2.2以上対応機種(一部機種を除く)、(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.

ソーシャルゲームの人材難は十分承知だが、惑わされずに人材育成