ソーシャルゲームでもオリジナルの面白さを追求
――スマートフォン向けゲームや、ソーシャルゲームについて、ずいぶん先行できたのではないでしょうか。
襟川氏:そうですね。日本や韓国ではスマホシフトが急速に動いていると思いますが、海外のほかの地域ではまだそこまでではない気がします。欧米市場などではスマホ向けゲームよりも、実はブラウザゲームやSNS上のゲームなど、PC向けビジネスの方が可能性あるような気がしています。
コーエーテクモゲームスでは、Yahooモバゲー向けに『100万人の信長の野望』と『のぶニャがの野望』という2つのブラウザゲームを出していて、近々3タイトルを追加します。また、コミュニティサイト「my GAMECITY」でも、ブラウザゲームを提供しています。これらは主に国内向けのサービスなので、まずは国内で定着させてから、将来的には海外に向けてブラウザゲームを提供していきたいですね。
――ブラウザゲームはライト層向けのゲームになるのでしょうか。
襟川氏:ブラウザゲームはライト層に向けたカジュアルなゲームが中心になると思っています。コアファンはオンラインゲームを好みますし、その中でコミュニティを作る傾向があります。
――ブラウザゲームやソーシャルゲームなどで、似たようなゲームばかりが並び、結局ライト層が飽きてしまって急速に離れるという事態に陥るという心配がありますが。
襟川氏:ブームというのは確かにあります。その一つがロワイヤル系のものでしょうし、もう一つがカードバトル系だと思います。ただ、ソーシャルゲームの一つのジャンルになっていくのではないでしょうか。
パッケージゲームでもアクションやRPG、シューティングなど、たくさんのジャンルがあります。ソーシャルゲームのすべてが、カードゲームになっているわけではありませんから、いくつかのジャンルに分化していくのだと思います。
そうした中で、企業の独自性、存在意義というものを重視しています。基本理念として、私たちならではのオリジナルなゲームシステムを作って、お客様に新しい面白さを提供するという「創造と貢献」の精神があります。ですので、全体的なブームとしてのトレンドは理解していますが、私たちオリジナルの面白さをソーシャルゲームの中でも追求できると思っています。
例えば、競馬育成ゲーム『Winning Post』や恋愛シミュレーションゲーム『金色のコルダ』といった、他社にはない面白さをソーシャルゲームの中でも提供することが、コーエーテクモの存在意義だと思っています。そうした面で勝負していきたいですね。
――100万人シリーズの中にもそうした理念が貫かれているということでしょうか。
襟川氏:カードバトルゲーム的な要素を取り込んでいるかもしれませんが、遊んでいただければ、ほかとはちょっと違うことを感じてもらえると思います。『100万人のWinning Post』は数ある競馬ゲームの中でも、優れたゲームシステムを持っています。最近では非常に人気のあるタイトルとなっています。
『モンスターランチャー(モンスターファーム)』は米国でサービスしている育成系のソーシャルゲームです。牧場でモンスターを育てて、冒険して、トーナメントに出て、自分のモンスターを強くしていくというものです。ゲームの中で、ユーザーが集まるサークルができ、お互いに切磋琢磨することもできます。サービスをスタートして3カ月くらいが過ぎましたが、着実にユーザー数が上昇していますね。日本のソーシャルゲーム事業と比べると、金額面ではまだ少ないのですけれど。