「家庭用ゲーム」の領域は広がっている
――フランチャイズタイトルについての状況はいかがですか。
田中氏:3月に、『METAL GEAR SOLID SNAKE EATER 3D』を発売します。3D立体視により、ジャングルをはじめとしたステージへの没入感が増し、タッチパネルなどの直感的な操作で、作品のテーマである「潜入」の臨場感を楽しむことができます。
今後、家庭用ゲームの分野は、いわゆる「家庭用ゲーム専用機」という限られた領域から「家庭で遊ぶデジタルエンタテインメント」という意味でさらに広がっていくと見ています。
ソーシャルゲームに加え、「グーグルテレビ」などのスマートテレビも、その領域に加わっていくことになります。
パッケージタイトルの販売本数だけでは見えない領域がどんどん広がっています。チャンスもポテンシャルも広がっていますね。
考えなければいけないのは、各社さんが垂直統合にプラットフォームを構築していることです。マイクロソフトさんは、Windows-Xbox-Windows Phoneですし、アップルさんも、Mac-iPad-iPhone、任天堂さん、ソニーさんにもある。その各社さんからは「我が社のプラットフォーム専用にタイトルを出してくれ」と要望をいただきます。本当は、我々のコンテンツをあらゆるプラットフォームに一様に出せたらいいのですが。プラットフォーム戦略では常につきまとう課題ですね。
クラウドゲーミングやPCオンラインゲームにも展開
――プラットフォームの多様化でいうと、海外でサービス中のクラウドゲーミングプラットフォーム「OnLive」向けにもタイトルをリリースしましたね。
田中氏:まずは1タイトル『Pro Evolution Soccer 2012』(日本では『ウイニングイレブン』)の展開を始めました。OnLive用に専用の機能を付加したものではなく、パッケージ型と同様のものですが、反応が出てくるのはまだまだこれからですね。
ただ、今後、スマートテレビのグーグルテレビにはOnLiveが標準で搭載されるようなので、もしかしたら、欧米では据え置き型ゲーム機以上に普及するかもしれません。
――PC向けでは、韓国で『ウイニングイレブン』のオンラインゲームをNHNと共同展開しますね。
田中氏:はい。現在テスト段階ですが、もうしばらくすると、正式サービスの時期など、いろいろな発表ができると思います。今年にはサービスインします。
日本での展開も考えていますが、今後、PCというプラットフォームがどうなっていくかが気になりますね。今や、一番売れているのはタブレット型とも言われていますし。
――そういう意味では、かつてのPCオンラインゲームはコアな層がメインでしたが、スマートフォン、タブレットの登場で、その障壁は低くなったでしょうか。
田中氏:低くなりましたね。どの家庭にも、リビングにインターネットが入りました。PCがあるからインターネットをするのではなく、タブレットやインターネットにつながったテレビを通じてインターネットが非常に身近な存在になりました。その意味では、PCオンラインゲームもファミリー向けにするなど、間口を広げて考える必要があるかもしれませんね。