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HOMEものづくり設計革新事例で学ぶ! 技術者のための中国知財動向 > 最終回:中国出向者の職務発明は日本本社に帰属するのか

事例で学ぶ! 技術者のための中国知財動向

最終回:中国出向者の職務発明は日本本社に帰属するのか

  • 小町 澄輝=創英国際特許法律事務所 弁理士
  • 2012/05/17 00:00
  • 1/4ページ

【事例】
 食器洗浄機の開発を担当するAさんは、中国市場向け商品の開発機能を強化するために現地の関連会社への出向を命じられました。

 そこでAさんは現地のニーズを分析して試作を重ねた結果、中国市場向けの食器洗浄機を開発しました。洗浄機ノズルの改良によって従来と比べて少ない水量での洗浄が可能になり、新方式の食器洗浄機を発明できたのです。

 開発が一段落したところでAさんにある疑問がわきました。今回の職務発明はどこに帰属するのかということです。日本本社の規定では、職務発明の特許を受ける権利は会社に帰属することになります。Aさんは中国の関連会社に出向中ですが、Aさんに給与を支払っているのは日本本社です。日本本社の規定には、出向者の職務発明が出向先の関連会社に帰属するとはありません。今回の職務発明は、日本本社と中国関連会社のどちらに帰属するのでしょうか。

【解説】
 はたして、Aさんの職務発明は日本本社に帰属するでしょうか。その疑問に答えるために、まずは日本特許法上の職務発明規定と比較しながら中国の職務発明について説明します。

職務発明の定義

(a)日本の場合
 日本特許法では、職務発明について次のように定義しています。

従業者等がその性質上使用者等の業務範囲に属し、かつその発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在または過去の職務に属する発明
日本特許法第35条

 ここでの「従業者等」の例として会社の従業員、「使用者等」の例として会社が挙げられます。

(b)中国の場合
 一方、中国特許法では、職務発明を以下のように定義しています。

所属単位の職務を遂行し、または主に当該単位の物質・技術条件を利用して完成した発明創造
中国特許法第6条

 ここで出てきた「単位」は、ものの量を計るための基準ではなく、企業/法人/機関/団体などを意味しています。

 所属単位の職務を遂行することで完成した職務発明創造、および所属単位の物質・技術条件等については、中国特許法実施細則で詳細に規定されています。

特許法第6条にいう所属単位の職務を遂行することによって完成した職務発明創造とは、次に掲げることをいう。
(1)本来の職務遂行中に行った発明創造
(2)所属単位から与えられた本来の職務以外の職務を履行することによって行った発明創造
(3)定年退職、元の所属単位から転勤しまたは労働、人事関係終了後の1年以内に行った、元の所属単位で担当していた本来の職務または元の所属単位から与えられた職務に関連する発明創造

特許法第6条にいう所属単位には一時的な勤め先を含む。特許法第6条にいう所属単位の物質・技術条件とは、所属単位の資金、設備、部品、原材料、または対外的に公開されていない技術資料などをいう。

中国特許法実施細則第12条

 日中両国の規定を比べると、職務発明の定義はほぼ同じです。しかし、退職後等に行った前職の職務に関する発明が職務発明に該当するか否かについては、日本の場合は明確な期間の区切りがないのに対し、中国の場合は退職後等から1年と明確に規定しています。

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