秘密保持審査請求の方式

 それでは、秘密保持審査とはどのようなものなのでしょうか。秘密保持審査を請求する方式としては、以下の3つがあります。
[1]外国を第一国として出願する前に、SIPOに秘密保持審査請求を請求する。
[2]中国国内で出願した後に外国で出願する場合、その外国での出願前にSIPOに秘密保持審査を請求する。
[3]SIPOを受理官庁としてPCT出願する。
 秘密保持審査の流れは、[1]および[2]の場合と[3]の場合で異なりますので、それぞれの場合について説明していきます。なお[3]の場合、秘密保持審査の請求が同時に提出されたと見なされますので、出願人があらためて秘密審査を請求する必要がありません。

 PCT出願 特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づいた国際出願。PCT加盟国の全ての国に同時に出願したことと同じ効果を与える出願制度です。

<秘密保持審査方式が[1]および[2]の場合>
 秘密保持審査が請求されたとき、審査官はその請求に係る発明または考案が国家の安全あるいは重大な利益に関わっているか否かについて審査を行います。発明または考案が国家の安全あるいは重大な利益に関わっておらず、審査官が発明または考案の技術方案について明らかに秘密保持の必要がないと判断した場合は、外国での出願を許可するという通知書を請求人に送付します。一方、審査官が秘密保持の可能性があると判断した場合は、重ねて秘密保持審査を行う必要があるため、審査官は外国への出願を見合わせるように求める「秘密保持審査意見通知書」を請求人に送付します。その後、審査官は再度秘密保持審査を行い、その審査結果を示す「秘密保持審査決定書」を請求人に送付します。

<秘密保持審査方式が[3]の場合>
 審査官がPCT出願について秘密保持の必要がないと判断した場合、そのPCT出願に対して通常の国際的な手続きに沿った処理を行います。一方、秘密保持の必要があると判断した場合には、審査官は出願日から3カ月以内に国家安全上の問題によって記録原本(PCT出願の書類の原本)と調査用写しを送付しない旨の通知書を請求人に送付し、かつこの出願をPCT出願として処理しないことを請求人および国際事務局に通知します(図)。そのような旨の通知書が出願日から3カ月以内に送付されなければ、そのPCT出願は秘密保持の必要がないと見なされるので、通常の国際的な手続きに移行します。

図●秘密保持審査方式が[3]の場合の審査の流れ