中国実用新案制度の特徴

 ただし、実用新案出願件数が増加した要因は、こうした政策によるものだけではありません。中国の出願人が実用新案を重視するのは、実用新案制度自体が持つ特徴にもあると考えられます。

<特徴1:早期に権利化できる>
 中国の実用新案出願は日本と同様、実体審査がなく、初歩審査を経れば設定登録されます。実体審査が必要な特許に比べると、実用新案出願の方が早期に権利化できます。2010年の統計によると、実用新案は出願から設定登録までの期間が平均7カ月だったのに対して、特許は実体審査請求から登録までの期間が平均2年でした。このことからも、実用新案がいかに早く権利化できるのかが分かります。

<特徴2:費用が安い>
 下のは、特許と実用新案のオフィシャルフィーの一部を示したものです。特許に比べて、実用新案の諸費用が安いことは明らかです。さらに、実用新案を出願する場合は、特許と異なり、実体審査の費用や実体審査に伴う中間処理の費用なども発生しません。従って、コストの観点からみると、実用新案の方が特許よりも圧倒的に有利です。

表●実用新案および特許のオフィシャルフィー(一部)の比較
1人民元は約13円。
オフィシャルフィー実用新案(人民元)特許(人民元)
出願500900
実体審査なし2500
設定登録205255
維持年金(1~3年)600900