ドライバーへの負担は当然,重くなる。だが,松本はすぐに走行データの重要性を理解した。走行データがあることで,課題の抽出がとにかく速く進むのだ。その一例として「再現性のない現象も記録に残せること」を松本は挙げる。
例えば,こんなことがあった。走行テスト中,変速すべきところで変速しなかったのだ。すぐさま松本は変速機の担当者を助手席に乗せ,この現象を再現しようとした。言葉で説明するより,実際に体験してもらった方が話は早いと,反射的に判断したからだ。しかし,残念ながら二度と同じ現象は発生しなかった。
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