学会発表前に出願を

 以上の比較結果をふまえて、あらためて今回の事例を分析すると、Aさんの学会発表が中国で新規性喪失の例外適用対象になるか否かは、発表場所である「関東樹脂成形学会」が中国特許法第24条の「規定の学術会議または技術会議」に該当するかにかかっています。しかし、この場合は同学会が中国国務院関係主管部分または中国全国的学術団体が組織し主催するものに該当するとは考えがたいので、Aさんの発明は中国では新規性喪失の例外適用にならないことが分かります。

 このように新規性喪失例外の適用対象は日中両国で異なっており、基本的に日本と比べて中国の方が適用対象範囲が狭くなっています。従って、中国での特許出願を考えている場合は、出願前の学会発表などを避け、出願をしてから発表することの重要性を認識してください。(次回に続く)