つまり、系統の安定性を保ちながら自然エネルギーを最大限利用できるシステムの構築が重要になる。この際に、太陽電池システムと系統の間に置かれるパワー・コンディショナを高機能化しなければならない。例えば、太陽光発電の導入量世界一のドイツでは、系統の安定化のため太陽光発電システムの出力を外部から制御できるなどの機能を搭載することが義務付けられている。
この技術開発を進めるには、まず送配電網全域にわたった再生可能エネルギーによる電力の大量導入に起因する電力系統の変化を、実地で技術的に分析・実証することが大切だ。そのため、スマートグリッドの実証実験が国内外で進んでいる。
三菱電機でも、2020年以降の送配電網を想定した実証実験設備を70億円かけて自社内に構築し、尼崎地区、和歌山地区、大船地区に設置して技術開発を進めている6)。
6) 三菱電機ニュースリリース,「スマートグリッドの実証実験を開始」,2010年5月17日.
また、落雷などで電力系統に瞬時電圧低下(瞬低)が発生した場合に運転を継続するシステムも求められる。具体的には、瞬低が起きた際にはパワー・コンディショナは極力運転を継続する。分散電源が一斉に停止すると系統の復旧に時間がかかる恐れがあるからだ。また瞬低からの回復後は、速やかに系統に電力を送るようにする。これにより、電力系統の不安定化を抑制することができる(図10)。