エネルギー
 
吉田 勝=日経ものづくり
2012/02/20 00:00
出典:Green Device magazine、2011年冬号 、pp.50~52 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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図1 色素増感型太陽電池(DSC)の原理
TiO2のナノポーラス膜に色素分子を吸着させた光半導体膜を、電解液とと もに基板に封止してある。色素に光が当たると電子が放出され電流が流れ る。ロームの資料を基に日経ものづくりが作成。
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 照明の光をリモコンや時計の電源にしたり、給電配線なしで家庭中にセンサ・ネットワークを張り巡らしたり─ロームはそうした環境を実現するための太陽光発電パネルの開発を進めている。それが色素増感型光電変換デバイス(Dye Sensitized Solar Cell、以下DSC)だ。

 太陽光発電といっても、同社がDSCの光源に利用しようとしている光は室内光。照明に投入したエネルギーの一部をDSCで回収し、家庭内の小型機器の電源にするというビジョンを描く。

 DSCは、光を吸収した色素が電子を放出する現象を利用して発電する。酸化チタン(TiO2)の微粒子から成るナノポーラス膜の表面に色素を吸着させ、それを電解液とともに透明電極を設けた2枚の基板で挟み込むという、比較的単純な構造をしている(図1)。

図2 多彩な色のパネルが作れるDSC
幾つかの色の色素を使って作った扇子型パネルのイメージ品。ただし、写真の製品は配線しておらず発電はしない。
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 使う色素の色を変えることで色をある程度調整できるため、真っ黒なシリコン(Si)型に比べて多様な色のパネルが作れるのが利点だ(図2)。

 同社はそのデザイン性の高さに着目した。室内で使っても違和感のない小型電源になり得ると考えたのである。半透明なのでガラスにはめ込むといった使い方も考えられる。うまくインテリアなどに組み込めば、一見して発電機能があるとは分からない機器にすることもできる。基板の材料はガラスの他に樹脂なども使えるため、柔らかな樹脂を基板とすれば、曲げられるパネルの実現も可能となる。

 比較的安価に造れるのも特徴だ。一般に普及している屋外用の単結晶Si型と異なり、真空工程が不要で比較的低温で済むという。具体的には明かさないものの「量産すれば製造コストは(実用的なレベルに)下げられる」(同社研究開発本部融合デバイス研究開発センターセンター長の奥良彰氏)とみている。

センサ・ネットワークに最適

図3 室内でのDSCの利用イメージ
携帯用の小型電子機器、リモコン、時計などの電源として利用することを想定している。ロームの資料を基に日経ものづくりが作成。
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 ロームは、現在、DSCを周囲の環境からエネルギーを取り出すエネルギー・ハーベスティング用デバイスと位置付けて、開発を進めている。例えば、携帯機器の充電スタンドへの給電、小型オーディオプレーヤやリモコン、壁掛け時計の電源といった使い方だ(図3)。

 安定した電源として使えれば、室内の小型機器への給電用の配線が不要となり、電池交換の手間も省ける。

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