2012年7月1日に始まる再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度。太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスを用いて発電した電力を、一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けるものだ注1)。これにより、2009年11月の余剰電力買い取り制度によって需要が拡大した住宅用太陽電池に続き、公共・産業用太陽電池についても普及が進むと期待されている注2)。矢野経済研究所によれば、日本における公共・産業用太陽電池システムの市場規模は、2010年度の1508億円から、2020年度には8596億円に膨らむという。

注1)2011年8月26日に第177回通常国会で「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が成立した。なお、住宅などの太陽光発電については、現在と同様に余剰電力の買い取りになる。風力は小型の風力発電を含む。水力は3万kW未満の中小水力発電を対象とする。バイオマスは、紙パルプなどの既存の用途に影響を及ぼさないバイオマスを使った発電を対象にする。

注2)買い取り価格と買い取り期間は今後決める。ある太陽電池関係者は「35円/kWh前後になりそうだ。それだと普及は急速には進まない。じわじわと普及することになるだろう」とみる。

 公共・産業用太陽電池システムの中で、出力がMWクラスの大規模なものが「メガソーラー」である。これまで日本では、日本向け技術の実証実験が進んできた1)。今後は、こうした技術基盤を生かしながら、電力会社や自治体、民間企業がメガソーラーの設置を活発化する。2012年以降は、地域ごとに工夫を凝らした次世代のメガソーラーが次々と姿を現すことになるだろう。

1) 河合、「離陸する日本のメガソーラー、実証施設で技術課題を解決」、『Green Device magazine』、2010年夏号、pp.50─55.

風と埋立地の対策を施す

 現時点で日本のメガソーラーの設置を牽引するのは電力会社である。2020年度までに、約30地点で合わせて約140MWのメガソーラーの建設を計画している。

図1 埋め立て処分地にメガソーラーを設置
川崎市と東京電力が共同で建設した「浮島太陽光発電所」。奥に羽田空港がある。
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 このうち東京電力は、川崎市と共同で浮島太陽光発電所(7MW)と扇島太陽光発電所(13MW)を2011年中に、山梨県と共同で米倉山太陽光発電所(10MW)を2012年初頭に建設する。東京電力で初のメガソーラーとなる浮島太陽光発電所は、2011年8月に運営を開始した。川崎市が所有する廃棄物埋め立て処分地に、シャープの単結晶Si型太陽電池モジュールを3万7926枚敷き詰めている(図1注3)

注3)浮島太陽光発電所は、東京電力初のメガソーラーということで、実績のある結晶Si型太陽電池を選んだ。なお、米倉山太陽光発電所は、ソーラーフロンティアのC(IG)S型太陽電池を利用する。