COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 

第3回:100億円よろしく(下)

河合 基伸=日経エレクトロニクス
2012/01/19 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2010年6月28日号 、pp.136~137 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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【前回より続く】

 こうして2009年春に,最後まで未定だった通信機能が,QRコードに決定した。これで,2009年末の発売に向けて,製造委託先の中国メーカーとのやりとりを本格化できる。課長が心配するQRコード機能については,現地で検証できるように日本の携帯電話機を中国メーカーに渡して万全を期した。つもりだった…。

300文字から200文字へ

立石氏(右)と佐久間氏(左)は,中国の製造委託先でDM20の最終確認に奔走した(写真:加藤 康)

 発売日が徐々に迫る2009年9月末,立石と佐久間は中国に飛んで最後の詰めの作業を行っていた。連日のデバッグ作業の合間に,立石は何気なくパソコンでQRコードについて調べていた。そこには,“携帯電話機でのQRコードの読み取りは200文字が適しています”との文字が。

 「ん?QRコードは何文字に設定していたっけ」

 「300文字ですよ」

 DM10で1ファイル当たりの文字数が少ないとのユーザーの声が多かったこともあり,できるだけ多くの文字を変換できるように300文字に設定していたのだ。300文字のQRコードを最大の16個つなげれば,4800文字に変換できる。

 「大丈夫かなあ。ちょっとケータイ出して」

 日本から来た開発陣は,手持ちの携帯電話機を取り出して,300文字を変換したQRコードを読み込んでみた。佐久間の携帯電話機は,問題なく読み取れた。しかし,

 「あ,読めない」

 立石の携帯電話機はダメだった。立石の機種は,当時の売れ筋だった。売れ筋の機種で読み取れないのは大きな問題だ。どうやら,確認用に中国メーカーに渡していた携帯電話機は,QRコードの読み取りに適した機種だったようだ。

 「まずいなあ」

 「どうする」

 「文字数を減らすか」

 「日本に連絡している時間はないぞ」

 「俺たちで決断するしかない」

 「分かった。200文字にしよう」

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