「2011年度中国電子信息産業経済運行およびカラーテレビ業界研究発表会」が、2011年12月28日に北京で開催された(同会議の中国語サイト)。この会議では、これまで行われてきた「家電下郷」や「以旧換新」などの政策の分析、2011年の中国テレビ業界発展状況のまとめ、および2012年の予測について議論された。
 この会議の主催者でもあり中国のカラー・テレビ市場に詳しい中国All View Consulting(AVC)社北京奥維営銷咨詢公司)のFPD研究センター総経理の彭健(Peng Jian)氏の講演内容を引用しながら、2011年の中国カラー・テレビ市場の状況と2012年の予測についてレポートする。
 なお、この会議では、「平板テレビ名詞術語規範」「スマートネットテレビ・アフターサービス規範」「デジタルスマートコンタクト技術規範」が発布され、2011年度の優秀なテレビ・ブランドの表彰式も行われた。これらについては別途レポートしたい。(テック・アンド・ビズ)

(1)2011年の中国カラー・テレビ市場の総括

2011年の中国液晶テレビ市場は10%強の成長

 2011年の中国国内のカラー・テレビ小売台数は4183万台、対前年同期比で4.5%成長した。このうち、液晶テレビ(平板テレビと呼ばれる)の販売台数は3683万台で、対前年同期比の成長率は10.6%だった(図1の2011年の月ごとの平板電視販売台数を参照)。一方、プラズマ・テレビの販売台数は208万台、対前年同期比30.8%増である。また、CRTテレビの販売台数は対前年同期比50.9%減の228万台である。

 液晶テレビの成長率推移を見ると、2008年は60%、2009年は90%、2010年は40%弱であり、さらに2011年の10.6%という数値を見ると、液晶テレビの浸透率がほぼ上限に達したことが分かる。2012年のFPDテレビの国内販売台数は3990万台、対前年同期比9.1%の成長と予測される。

図1 2011年の月ごとの中国市場における液晶テレビ販売台数の推移
販売台数(青いバー)のピークは1月の正月商戦、5月の労働節商戦、10月の国慶節商戦である。赤線は対前年同期比。AVC社の彭健(Peng Jian)氏の講演資料より。
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「家電下郷」は一定の効果を上げた

「以旧換新」政策は予定通り2011年12月をもって終了し、「家電下郷」政策も2013年の初めまでには終了する予定である(先だって山東省、河南省、四川省、青島市は2011年11月までに既に停止している)。家電下郷の効果として、2011年11月までに、家電下郷対象製品の累計売上台数は2億1000万台、売上高は4874億人民元に達した。

 家電消費を後押ししてきたこれらの政策の終了は、今後の中国市場の成長に大きく影響する。このため、商務部は新たな消費刺激施策を検討しており、多くの業界関係者が今後の動向に注目している。なお、これらの政策の効果の詳細分析と今後の新たな政策に関しては、別途レポートする予定である。