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体感ゲーム機「機動戦士ガンダム 戦場の絆」の開発

第6回:大丈夫あなたならできるよ(下)

  • 根津 禎=日経エレクトロニクス
  • 2012/01/10 00:00
  • 1/2ページ

【前回より続く】

 小山らは,MSを操縦する実感をもたらすとともに,「団体(チーム)戦」の要素を開発中の戦場の絆に取り入れることを当初から決めていた。O.R.B.Sのコンセプトを継承しつつ,実用化に向けて球形だったスクリーンを楕円形に変更し,プロジェクターの位置や投射角度を変更するなど改良を加え,全く別物として生まれ変わったゲーム筐体「P.O.D」は,ユーザーが「MSを操縦する」体感を得るのに成功していた。だが,操縦を体感できるだけなら遊園地の乗り物と同じ。いずれは飽きられる。

 そこでユーザーを飽きさせないために,原作と同じく「地球連邦軍」と「ジオン公国軍」に分かれて戦うという,チーム戦の要素をゲームに盛り込んだ。こうすればユーザーは,MSを操作する実感を得るだけでなく,仲間と協力して敵と戦い,勝つ快感も味わえる。

 当初はそれでも,対戦する相手を店舗内にとどめる予定だった。全国規模のネットワーク対戦を取り入れた方が,戦う楽しみが広がるのは分かっていた。だが,時間も経験も不足した開発メンバーにとっては,その開発は敷居が高かった。

「大丈夫,きっとできるから」

 小山の中には,「口に出してしまえば,みんなは応えてくれる」というメンバーへの信頼が既に芽生えていた。

劇的に下がった。なぜだ!

 小山が次々と繰り出す無理難題をこなすことで,チームのメンバーは着実に実力を付けつつあった。実際,小山の期待通り,ネットワーク対戦の実現はもちろん,最大の課題であった筐体コストも部材を一から見直すなどして達成した。とりわけコスト低減に寄与したのは,プロジェクターとそのレンズである。「ここまで現実的な値段になるとは予想してなかった。奇跡的だった」(小山)。内心覚悟していた金額とあまりに懸け離れた安さに小山が逆に驚いたほどだ。

「ほんとにこの金額でできるの?」

「大丈夫です。作れます!」

 戦場の絆の最終的な公称価格は,P.O.D4台とカード・システム用機器などを含む1セットで1380万円。製造コストは明らかではないが,利益が出る値付けなのは間違いない。

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