「W-ZERO3」は,ウィルコムがシャープ,米Microsoft Corp.と共同で開発した携帯型情報機器(PDA)である。ウィルコムとネットインデックスが開発した「WSIM(ウィルコム・シム)」と呼ぶPHS通信モジュールを使って,音声電話とデータ通信の機能を提供する。いわゆる「スマートフォン」と呼ばれるジャンルに入る製品である。

 W-ZERO3が初めて世に出た場は,2005年10月20日にウィルコムが開いた発表会見だった。この時点では2005年度内に10万台出荷するという同社の狙いに懐疑的な見方が多かった。「PDAは3万台売れれば御の字。10万台の目標は大きすぎるのでは?」といった趣旨の質問が記者から出たほどだ。

   しかし,2005年12月14日に発売されるや各地で品切れ騒ぎを引き起こすヒット商品になった。発売後1カ月で5万台を売り,約半年後の2006年5月末には15万台を突破した。「半年足らずで15万台を販売できた」――。2006年6月6日に開かれたW-ZERO3の新機種発表会で,壇上のウィルコム 常務執行役員の土橋匡は誇らしげに発表した。